みんなの観戦記

歴史をこの目で!

クレイジーホース さん

2010年11月29日 リーガ第13節 レアル・マドリー戦

いろんな山を乗り越えたあと、人生最高の興奮が待っていた。

それはさかのぼること6年前。卒業旅先のフィレンツェで中田の試合を見ていると、偶然出会った日本人が、「一生に一度観たいものはエル・クラシコだ。なにしろ10万人がスタジアムを揺らすんだぜ。」と言っていたのだ。

以来、クラシコを観ることは僕の夢に なっていた。そして、そのあとバルセロナに寄って観たカンプノウでの、ロナウジーショのまさにファンタジスタといえる躍動ぶりに、僕はバルセロナの虜に なったのだ(ちなみに試合は、ホームでA・マドリーに負けるという残念な結果だった)。

社会人になり、サッカー観戦どころか旅行すらできなくなったが、昨年、運よく2年間パリ勤務になった。 9月、クラシコのチケットはとチェックすると、ちょうどソシオに優先的にチケットを売り出される時期だった。しかし、時すでに遅し。 次の年を狙うことにした。

そして翌年。忘れずに6月頃にソシオ入 会手続きをとり、会員証を待つ。だが待てども待てども連絡がなかったので、問い合わせると、初年度会費の支払いが、クレジットカードから何かの理由によ り、断られたとのこと。この事実に気付いたのはなんと8月末。あわててカード会社に確認し、支払い手続きをとってもらったが、会員番号の入ったソシオカー ドが手元に来るより先に、ソシオ向けチケットの売出日を迎えてしまった。。。

そうはいってもとにかくチケット発売日当日10時にパソコンをにらみ、何度もバルサHPのチケット購入サイトに行くが、そもそもネットがパンク状態で、チケット販売のページにもたどり着けない始末。焦るが、何の手だてもないままお昼が過ぎた。。。

しかし、たまたまなのか、会員宛ての メールのチケット販売案内をチェックし、メンバーサイトに行くと、上手くページにたどり着いた。無我夢中で、会員番号の入力要求も無視して「OK」ボタン 的なものをクリックしてたら、servi caixaのページにジャンプした。「これってもしかしてチケット買える?」という期待を胸にチケットの売出状況を観ると、まだラテラルの一階、ピッチの 目の前の席が空いてるではないかぁ!!!無事ネットでチケットを購入した僕は、興奮しきりで、大学入学を決めたときより興奮していた。

この時、仮で28日(日)夜キックオフ予定となっていたので、「まぁ、保険をかけて土曜日も滞在できるようにしておこう」と思い、すぐさま金曜日夕方パリ 発&バルセロナ着、月曜日朝6時バルセロナ発7時40分パリ着で、仕事も行けるように準備し、ホテルも予約して準備した(なお、このとき Ryanairでフライトが片道6ユーロだったのには驚愕した)。これが後になって悪夢を見るとは思いもよらなかった。

10月、またしてもservi caixaのお世話になり、白組対ACミランというチャンピオンズリーグの試合がベルナベウであったので、ロナウジーニョに白組をぶっつぶしてもらうべく 応援しに出かけた。しかし、結果はご存じのとおり、憎きポルトガル人にフリーキックを決められ、0-2で逆に返り討ち会う後味の悪い試合であった。。 。

その後、クラシコでのリベンジを誓いつつ、決戦の日を待っていると、たまたま出会った職場のサッカー好きからとんでもないうわさを耳にした。

「今年のカンプノウでのクラシコは月曜日かもれない」

その言葉を、しばし信じられなかった。なぜなら、月曜日から3日間は重要な会議があり、いくらなんでもバルセロナに行けるわけがない。これだけの歳月を待 ち、チケットの購入も奇跡的に購入できたのに、それはなんでもひどいじゃないか。 スペインサッカー協会に切実なサポーターの声を届けようとするが、連絡先が分からず、結局祈るしかなかった。

そして、悪夢は現実に。僕は諦めた。これまでの観戦結果といい、今回といい、サッカーを観る運命にないのだろう。選挙が恨めしく思えた。

未練を残しつつ、26日金曜日に会議資料を準備していた僕は、月曜日はスポーツバーくらいは行けるかな、程度の思いで会議の段取りを確認。すると僕が会議にいるべきセッションが、16時終了を予定していたことに気付いた。「あれ?」

急いでフライトを確認すると、パリ・オルリー空港18時発、19:40バルセロナ・エルプラット空港着がある。「職場からオルリーなら1時間で行けるから間に合かも。これは賭けるしかない。会議が遅れたらそれは本当に運命だ。」

ちなみに、土日はバルセロナで観光し た。そう、片道6ユーロのフライトチケットもあるし、サッカーが大嫌いな彼女が一緒に旅行してくれると言ってくれたんだ。この観光で、僕はエルプラット空 港の到着ロビーからバルセロナ市内、カンプノウまでの道のりを頭に叩き込んだ。そう、月曜日、絶対キックオフまでにスタジアムに行けるようにだ。

当日、なんと思いがけず会議が早く終わり、コーヒーブレイクになったところで、忍者のように姿をくらまし、僕はオルリーに急いだ。ついに、バルセロナ到着。土日と打って変わって気温は低くなり、小雨の様子だ。

バーでビールを10秒で買い、スタジアムに到着すると、すでに超満員。スタジアム中バルサの応援歌が響く。「バルサ、バルサ、バールサ」!!「これだ。これが僕が6年間夢見てきたカンプノウ、クラシコだ」

興奮を抑えきれず、身体もそれに反応して鳥肌が立った。 試合は開始早々10分でXAVIが一点目を決めると、一気にピッチ(といってもバルサ側のみ)とスタジアムのボルテージが上がった。白組は逆に混乱に陥ったように見えた。

一階席は実は試合運びを観るには向かな い。ゴール近くや逆サイドで何が起きているか判らないからだ。しかし、逆に目の前(10mくらい)で大好きなイニエスタのプレーを見られて最高だった。こ の日のバルサは動きがキレまくってた。目の前で見る高速ボールさばき、連携プレーは華麗なダンスを観ているかのようだ。美しすぎる。これこそ生でスタジア ムで観る醍醐味である。全体の流れはテレビで観るのがベストだと思っているので、スタジアムで観るときは迫力を優先するに限る。

ちなみに、双眼鏡を持てば、ゴール裏でも全然楽しめると個人的には思う。みなさんお試しいかが。

立て続けに2点目、後半でも勢いとまらず、3点を追加し、ロスタイム時点で5-0になった。もう隣のおじさん、後のおにいさんとハイタッチしまくり。みんな大興奮、大満足であった。

気がつけば、1994年以来の大勝。これまでの苦労を振り返ると、今回あきらめずにねばった結果、運も手伝って歴史に残る試合を観れたのは本当に嬉しかった。まさに一生に一度の経験だろう。

心の底からバルサに感謝。 ムーチャス・グラシアス。

 

(追記)
ちなみに、過去の観戦記を見ると、ServiCaixaは敬遠される方もおられましたが、英語サイトもあり、問題なく買えます。むしろ、セリエと比べると格段に入手しやすいと思います。

ServiCaixaでは、チケットの 発券はすべてが自宅印刷対応ではないようです。少なくとも私が購入したチケットでは、ATM(端末)なりスタジアムで発券しました。いずれにしても発送と いった手続きは不要で、購入した際のクレジットカードを忘れないように気をつければ、全く問題ありません。