トップページ観戦ガイドみんなの観戦記>bohemian67jp

 

 

みんなの観戦記

 

霜月決戦!
bohemian67jpさん
2004年11月20日、リーガ第12節、メレンゲ戦

クラシコ

リーガ全38節380試合のうち、ただの2試合のみ、そう呼ぶことを許されるもの…

クラシコ

バルセロニスタを自称する者ならば、居住まいを正し、瞬きする間も惜しんでその光景を目に焼き付けようとすべきもの…

クラシコ

メレンゲが敗れ去る姿に、無上の喜びを感じるもの…

 

初めてクラシコをスタジアムで観戦したのは、2年前。その試合のバルサは、負けこそしなかったものの、しかし勝つこともできなかった。あれから2年。その2年で、会長も監督も選手も時代もかわり、その試合に出場した選手のうち、今季も残っているのは4人だけとなった。しかし現在は首位。辛うじて2位にいるメレンゲとは大きくポイント差が開いている。立場は逆転した。今度こそ、目の前で叩きのめしてくれるはずだ。そう信じて、私は航空券を手配した…。

前回の試合のチケットは、日本で手配屋を通して現地で受け取ったのだが、トリブナの1階とはいえ、非常に高価だった(ウチの家賃より…)。今回はそんな余裕は無いので、現地で原価により近い値段で手に入れることにした。現地に友人がいるなどのアテがあったわけではない。ただ、なるべく空席が出ないようクラブ側で便宜をはかるようにする制度ができたり、昨年の状況を聞いたことなどによって、現地でも何とかなるかもしれないと判断した上での自力手配だったのだ。

19日(金)の早朝、マドリーから夜行バスでバルセロナ入り(乗り継ぎの都合でマドリーinバルセロナout)。宿を探して荷物を置いて、カンプ・ノウへ。西側、ミニ・エスタディ近くの前売券売り場へ行くも、“今日は無い”と言われてしまう。 ただ、“マニャーナ・メホール(意訳すると、明日なら可能性はある)”と言うので、当日券に賭けることにする。

 

翌日、9時からとのことだったので、余裕を持って出かけたはずだったのだが、ソシオ・カードを忘れて取りに戻り、結局10時頃になってしまった。まず前日に行った売り場へ行くと、ここではなく向こう(北側、ラ・マシア近くの当日券売り場)だと言われ、さらに歩いていくと、遠くに人だかりが見えてきた。あー、ココかと思って近づくにつれて、喧騒も怒声も大きくなり、時折罵声も聞こえてくる。人数にして数十人くらいはいるものの、チケットを売っているのかどうか定かではない。窓口はたくさんあるのだが、ヒトが集中している方向がいくつかまばらにあるので、間を置いて開けているようだ。

列が動いているようには見えず、と言うよりはむしろ列もなく、闇雲に窓口に人が押し寄せているだけなのだ。ヒトとヒトとの隙間がわずかでも空こうものなら、そこへ体の一部分をねじ込んでこじ開けて入り込んで、前へ進もうとする。窓口に近付けば、このポジションは譲らんとばかりに、鉄格子を掴んで個人でプレスをかける。これじゃオフェンスに組織は無いな…と思いながら、何をどうしようかとしばらく考えていると、時々紙切れを持ったヒトが、カタマリの奥からにじり出てくるので、とりあえずチケットは存在して売っているらしいと認識することができた。

やれやれ…

あまり気は進まなかったが、ぱっと見回して、いちばん小さそうなカタマリの後ろについて、ゴールへにじり寄ることにした。距離にして2〜3メートル。

天気は良く、コーフン気味の人々の熱気も相まって、長袖では汗ばむほどだった。見回したところ、男女比は9対1くらい。日本人も結構いた(数日後にチキートで聞いたら、やはり何人かでこの時に購入していたらしい)。年齢層は、下は20代半ばくらいから上は50代もしくはもう少し上もいたか。平均すると、ざっと30〜40代というところか。にもかかわらず、行列を無視して闇雲に前へ出ようとする。

一般人がこれだけ前がかりなのに、スペイン代表にいいデランテーロが出てこないのは実にフシギだ。警備員がいないのもどうかと思うが、売り場がレンガ造りで鉄格子がはめてあるのは、風景との調和や雰囲気を重視することよりも、こういう時の為の自衛策なのかという気がした。プレハブなんかでは、あっという間に崩壊しているだろう。

そのうち、さすがにスペインでもこれはよろしくないと思ったのか、レフェリーが増強され、列らしき線から外れていそうな、治安の悪そうな顔をしたオヤジや兄ちゃんを引っこ抜いては後ろへ追いやり、ようやくEU加盟国らしい秩序が戻り、怒号は止んだ。並ぶこと一時間、ようやく順番が回ってきた。

さすがにトリブナはすでに無く、ラテラルの2階の前の方に空きがあり、そこを押さえた。ソシオは5〜6ユーロの割引(当日券はソシオでなくても購入できたらしい)。100ユーロ弱の定価で、クラシコのチケットをゲット。2年前から大きくステップアップ(自分比)。

 

試合までまだ半日近くあったので、いったん宿に戻り、シエスタを取ってシャワーを浴び、日が暮れる頃に出かけた。スタジアム近くのバルで数杯飲み(スタジアム内ではアルコールを販売していない)、スタジアム入り。

席はピッチ全体が見渡せて、なかなか悪くない。人文字用の紙は青。裏に説明が書いてあるが、カタラン語なのでさっぱり分からない。スペイン語から類推しても、イムノの時に掲げることくらいしか分からなかった。

試合展開は、すでに皆さんもご存知の通り。点が入ったら紙を掲げるというのは、周りの反応を見て知った(笑)。1点目は、喜んだりカメラを構えようとしたりしてから掲げたので出遅れたが、2点目以降はツカんだ。最終的に3度も掲げられたのは、シアワセの一語に尽きる。

試合終了。

流れているイムノを口ずさみながら、シアワセなキモチでスタジアムを離れた。前回は混雑を避けたつもりで大学都市のメトロの駅まで歩いたのでずいぶん時間がかかったが、今回は最寄りの駅で詰まるようならタクシーでもくらいに思って歩いて行ったら、思いのほかスムーズで、試合終了から1時間もしないうちにランブラまで戻って来れた。

 

せっかくなので祝杯をあげようと思い、手近なバルに入った。やがてそこも閉店になり、外へ出ると、いやいや、怪気炎を上げている輩達がいた(笑)。電灯によじ登り、バルサやカタルーニャの旗を巻き付けて叫んでいる。

iフィーゴ・プート・エス!

周囲には、一緒になって叫んだり歌ったりしているのが20人くらい。その周囲で立ち止まって見ているのがやはり20人くらい。夜中に遠目ではあったが、皆比較的若かったように見えた。そしてその周りを制服を来た警官達が、やんわりと取り囲んでいる。警官達の顔にはそれほど緊張感は無かったので、写真を撮ってしばらく遠巻きに見ていたが、遅くまで開いているバルを探しに、やがてその場所を離れた。2時過ぎまでひとりで祝杯をあげ、まばらに人通りのあるランブラを引き返してきたら、彼らも散会しつつあった。

霜月決戦、完勝。