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2007年4月30日

1-0:夢は潰えた。

 

ひたすらに遠かった、モスクワへの1ゴール。

バルセロニスタの夢は、“夢の劇場”にて終わりました。モスクワへ続く門をこじ開けるために必要だった1ゴールを、どうしても決めることが出来なかったバルサ。ゴールへ至るためのチームとしての連携の欠如、約束事項の欠如、自信の欠如がここにきて大きく出てしまったかたちです。今季のバルサは、とにかく戦うチームとしての一体感や共通意識に欠けていました。それがその点で真逆のマンチェスターに敗れたのは、決して偶然ではない。チャンピオンズだけに救いを求めたその姿勢がそもそもの過ちであったことを認識し、リーガとの両立を可能とするチームコンディションを用意する体制作りが、これからの課題となります。

 

◇チームとして負けたバルサ

リオネル・メッシとクリスティアノ・ロナルド、ふたりのクラック対決は我らがメッシに軍配が上がったといえるでしょう。ポルトガルの色男がほとんど危険なプレーを見せられなかったのに対して、アルゼンチンのドリブル男はマンチェスター守備陣をかき乱し、バルサにとって唯一ともいえる脅威となっていました。しかしロナルドの他にテベスやパク、ナニといったデランテロたち、それに殊勲弾を決めたスコールズが存在感を出していたユナイテッドと違い、バルサはどうにかデコが気を吐いていただけで、バン・デルサールを慌てさせた場面はほとんどありません。そういったチームとしてのお約束実行能力の差が、如実に結果に現れた2試合でした。

ロナウジーニョが悲しい主役となり、エトーとアンリの調子が整わず、ボージャンはまだ若く、頼れる存在がメッシだけだった時点で、バルサ勝ちぬけの可能性はかなり絞られていました。マンチェスターの守備陣は、おそらく本音としてはかなりやり易かったはずです。「思ったより余裕があったよな」なんてロッカールームでは語り合ってるかもしれない。中盤のパス回しまでは、バルサらしさもそこそこに見られたユナイテッド戦。しかし崩れてしまったゴールへの自信の代償は、高かったのです。右エストレーモに置こうがメディアプンタだろうが、メッシひとりではさすがにユナイテッドの壁は崩せません。

 

◇会長にも責任追及は及ぶ

マンチェスターなる存在感にモチベーションを引き出され、バルサは今季ベストの部類に入る2試合を行い、それでもなお1つのゴールも決めることなく敗れ去りました。今回の敗北は、チャンピオンズで喫した初めての黒星。初めての敗北で大会を去るのは数年前のユベントスとの決戦を思い出させますが、前回と同じく、バルサはやはりひとつの大会にシーズンの救いを求めるのが苦手です。このマンチェスターとの対戦にて、バルサは多少なりともイメージを改善させました。しかし結果が伴わねば、それは何の役にも立たない。そしてこの大会のために全てを棄ててきた結末がこれなのですから、クラブの責任者たちは早々に総括を下し、さっさと次に向けて動き出す必要があります。このチームは似たような過ちを、あまりに多く繰り返しすぎました。

試合後にライカーが語っているように、彼の将来は「クラブが決めること」となり、これまでのようにミスター自ら辞任をする形で責任を取ることはありません。職責を全うすることが自分の責任であるというのが、ライカーの持論だからです。よって結論を出す必要があるのは、オールド・トラッフォードに雁首そろえてやってきていたラポルタ、チキ、イングラといった首脳陣たち。役員は全18名のうち実に13人がこの決戦を見るために帯同してきたわけですが、昨日の時点ではこのうちの誰も、メディアに向けてこの敗北やシーズンの分析を口にしてはいません。ラポルタさん、お早いうちの納得のいく総括、お待ちしておりますよ。

何故この面子をそろえたバルサが、400分以上も無得点に終わっているのか。それはおそらくプレシーズンのプランニングが悪すぎ、フィジカル面でも戦術面でも熟成を怠ったからでしょう。エリアから遠いところでいくらボールをこねくり回しても、脅威なんて与えられない。セットプレーも下手。多発した怪我人も含め、何故こんなことになってしまったのかを、会長には是非とも熟考してもらいたいものです。こんなダイナミズムの欠片もないバルサにしたのは、いろんな面での準備不足、これしかない。クラブとして試合への準備を甘く見たのがこの結果であり、その責任は当然会長にもあります。

 

◇タイトルを戦えるチーム体制作りを

いずれにせよ、このバルサは死にました。悪夢に思えた昨シーズンより、さらにグダグダした印象と結果を残して終わっていく07/08シーズン。思い出となったのはマンチェスターと1/2ファイナルで試合が出来たことくらいで、あとは忘れたいことばかりです。これをサイクルの終わりと言わずして、なんと言いましょうか。そしてライカーやロナウジーニョたちと築いてきたひとつの輝かしい時代も、切ない記憶とともに終わりの時となりました。コンディション管理を選手の自主性に任せ、攻撃も選手のひらめきに任せてきた兄貴分監督の“自主性フットボル”が、しっかりとチームコンセプトを叩き込まれたマンチェスターによって敗れるというのも、それはそれで示唆に富んでいます。あれだけ騒音にまみれた無秩序チームが、成功するはずもない。チームライカーは終わるべくして終わったのです。

ひょっとしたらこのチームは、ロッカールーム内に内部規律なり統制が取れていたならば、また別の結末を残したかもしれません。いやむしろ、その可能性が高かったことでしょう。しかしテクニコも役員会も、壊れていくロッカーに気づかず、あるいは気づいていても処置を取れず、チームは崩壊していきました。もしテクニコたちが浮いていくロナウジーニョをしっかりとフォローできていれば、こんな終わり方はなかったかもしれない。ロニーもバルサも、こんな結末は相応しくないですし、何とかできたはずなだけに悲しさも割り増しです。

結局のところ、あっさりとリーガを放棄してしまったことと、そうせざるを得なかったチーム状態の悪さがダメージとなりました。バルサは決してマドリにもバレンシアにも、マンチェスターにも劣っていたわけじゃない。でも結果は彼らの勝利です。今年最大の教訓は、“チームでないチームは、勝てない”に尽きます。この事実を役員会が見ようとせず、また同じようなプレシーズン計画を練ろうとしているのなら、現場の責任者を入れ替えたところで結末に大差はないでしょう。選手の能力はある。なので“チーム”を作れる体制を用意することが、この夏の最優先課題となります。はぁ〜、もっとちゃんとした状態で、この面子のバルサを見たかったなあ。残念至極!

 

 

 

 

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