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2007年4月15日

ペップ or ラウドルップ?

 

ライカーの後任人事は、どうやらこの二人に絞られた様子。

もしこのバルサがリーガなりチャンピオンズなり、ビッグタイトルを獲得したなら、フランク・ライカーは留任する。以前はそのような形で話は進んでいたようですが、さすがにここ最近のチーム不振によって、もう彼に固執することは出来ない状況にラポルタ役員会は追い込まれました。そこで後任監督候補として矢面に立たされているのが、ドリームチームの英雄であったペップ・グアルディオラとミカエル・ラウドルップのご両人。ともに攻撃的フットボルを信奉する監督ですが、まったく違うのは監督としての実績です。希望の人グアルディオラか、経験と実績のラウドルップか。役員会の意見は二つに分かれています。

 

◇ペップ監督キャンペーン

先々週末、全国ペーニャ集会にて行った大演説が“扇動政治家っぽい”として大不評を買ったラポルタ会長は、その熱い叫びの中で次のようなことを主張していました。「バルサにはバルサの哲学、プレースタイルがあり、その哲学に合致しない監督を私たちが呼ぶことはない!」彼はその哲学に合わない監督というのが誰かは示してはいませんが、普通に考えるならば名字に“モ”のつくポルトガル人であることは明白であり、クライフに気を遣ってか、それとも彼自身の信念に基づいたものかはいざ知らず、とにかく“バルサ的でない”監督の招聘はないし、期待している人たちは諦めてくれと、この演説で宣言したわけです。

そしてラポルタ政権に近しいスポルト紙が最近熱心に推しているのが、グアルディオラ新監督構想。クラブがなにか補強なりを考える場合、近いメディアに情報を提供し、メディアがそれをスクープ的に取り上げて読者や周囲の反応を伺い、その後の参考にするのはよくあるパターンですが、どうやら今回はペップ新監督案にてそれを実行しているようです。この時期から絶えずペップ関連のネタを流すことで規定事実化させてしまい、そのまま監督交代へと突き進むつもりでしょうか。ただし現時点ではファンの中では賛成派は多いとはいえず、代替案(?)のラウドルップさんが人気を見せています。

 

◇ファンはラウドルップを支持

スポルト紙のウェブサイトでは、次のようなアンケート調査が行われてます。“ラウドルップとグアルディオラ、あなたはどちらにバルサの監督になってほしい?”。そしてこれを書いている時点での結果は投票数7,300余で、ラウドルップ70%、ペップ30%の得票。至って順当な結果といえるでしょう。監督業を始めてまだ1年足らずで、地方リーグ(3部)でプレーするバルサBしか経験のないペップと、先日UEFA杯にてバイエルンを寸前まで追い詰め、国王杯でも決勝進出を決めているヘタフェ監督ラウドルップと。どちらがいいかと訊かれれば、現時点なら間違いなくラウドルップと答えます。でもラポルタ役員会はペップが一番お好きなようで、本日のスポルト紙には次のような特集記事が組まれています。“これがグアルディオラ・プロジェクトだ”。

なんでもその記事によりますと、ラポルタから時期監督就任を打診されている我らがペップは、クラブに対し自らが理想とする新規プロジェクト案を提出したといいます。自分をトップチームに呼びたいのなら、まずはチームの抜本的な見直しから始めてほしい。現在のAチームは選手、テクニコを含め仕事への取り組み方がなっておらず、思い切った改革がなされないかぎり成功はない。カギとなるポイントは3つで、チームのプロフェッショナル化、医療部とフィジカルトレーニング部門の再建、そしてプレースタイルのモダン化。これら改革の実行が、ペップが要請を受ける最低条件のようです。

 

◇グアルディオラの改革プラン

ペップはイタリア生活時代、ミランラボを代表とする選手管理システムに感銘を受けています。今のバルサは選手の自主性に任せ、全体練習にも参加しない者がいたり、明らかに厳しさに欠けます。午前と午後の練習の合間には、それぞれ好きにカンプノウを抜け出し、やりたいことをやっているようですし。グアルディオラはこれでは、チームに一体感など生まれないと考えます。なので練習場をカンプノウ横のラ・マシアから郊外の総合練習施設シウター・エスポルティーバへと移し、朝食から午前の練習、昼食を経て午後の練習が終わるまで、全員が一緒に時間を過ごすようにしたいと考えている模様です。

しかしこの“一日中チームはずっと一緒論”は12年前、カペッロが初めてマドリの監督に就任した際に導入しようとして、即刻諦めたやり方だそうです。2回目の就任時には、試そうともしてません。イタリアとスペインでは、フットボル選手の仕事への取り組み方がまったく別物ということですが、果たしてペップによってそれは成功するのか。ま、監督になってからの話ですが、理想と現実は上手くかみ合わないことも多いのです。

またグアルディオラはあまりにも多発する怪我人問題を解決するため、医療部の改革も希望しています。彼が強化したがっているのは、選手たちがどのような怪我をし、どれくらいの治療期間が必要なのかを正確に診断する、初期診断のスペシャリスト。また医療部の最高責任者には、ヒザの権威として名高いラモン・クガット医師を招きたいというのがペップの構想だそうです。そしてもちろん、フィジカルトレーニング部門の再建も欠かせません。個人的にはリバポーを辞任してフリーとなっているパコ・アジェスタランさんを引っ張ってこれれば最高なのですが。彼はフィジコの枠を超えた、すご腕のトレーナーです。

最後のプレースタイルに関してはSTであるチキ・ベギリスタインの考えによるところも大きいのですが、ペップが考えるに、今のチームには“バルサ流”を実践するにはスピードとパワーのある選手が不足しています。なのに無理やり4-3-3にこだわるからおかしくなるわけで、ひとつのシステムに固執せず、対戦相手に合わせていくつかの戦術変更していけばいいじゃないかというのが現バルサB監督の意見です。どの改革案もしっかりとバルサの現状を捉え、チームの建て直しには必須要素だと思います。是非ともペップに、バルサを率いてほしい。でもそれは、今すぐじゃなくてもいいのです。事を急ぎ、バルサの大事な“財産”ペップを食いつぶすことはありません。

 

◇クライフはラウドルップを評価

ではラポルタ役員会が大きな決定をする上で絶対に無視することが出来ない、御大ヨハン・クライフはどのように考えているのか。彼は昨日のエル・ペリオディコ・カタルーニャ紙の連載コラムにおいて、ミカエル・ラウドルップ監督案を前向きに評価しました。ご意見番曰は、前任者シュスターがいい仕事をした後のヘタフェをラウドルップは見事に引き継いだと見ていて、仮にコパ決勝でバレンシアに敗れて無冠に終わったとしても、十分に合格点が付けられると評価しているのです。彼はこのコラムでバルサ監督候補としてのラウドルップを語ってはいませんが、ペップ推薦派が多いとされる役員会の中で、ラウドルップ派は御大の言葉に勢いをもらうでしょう。ラウドルップ派はペップはまだバルサAの監督へ昇格させるには若く、もっと一歩ずつ経験を積むべきだと考えます。クレの多くもおそらく、これに同意見でしょう。

ラウドルップはクライフ率いるドリームチームの英雄だった人物で、イニエスタをはじめ彼をアイドルとする選手は数多く、カリスマは十分です。監督としては今季、ヘタフェを率い戦力的に一流とはいえないチームをコパの決勝、UEFA杯の1/4ファイナルまで導くという実績を残し、しかもそのスタイルがカンプノウ好みのボールタッチを中心とした攻撃的スタイル。一方で場面によっては先日のバルサ戦のように目標第一のチームプレーも行え、ライカーよりは引き出しは豊富そうです。リーガの知識も必然的に備わっていますし、バルセロナでも高い確率で成果を出してくれそうな気がします。

いずれにせよ、ラウドルップ案が勢力を増すのはコパの決勝戦(明日16日)が終わってからです。それまでに騒ぐとラウドルップに悪いので、バルサ側がコンタクトを取るのは今週末以降となりましょう。あとはミカエルの反応を見つつ、バルセロニスタの反応も伺いつつ、最終的な決断がなされることになります。ラウドルップに無下に断られてしまうとペップ案で本決まりになってしまいかねないので、ここはいっちょヘタフェの成功と、彼の快い返事を期待するということで。今後ローラン・ブラン案などが再浮上する可能性もありえますが、現状はカタランとデンマーク人のマッチレース。さあ2010年の会長選挙の行方を左右する監督人事、ラポルタはどうでますか。より気が気でないのは、次の会長を狙うラポルタ派の副会長たちでしょう。

 

 

 

 

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