チップの切り替え。
ヨーロッパでの成功のために、あらゆるものを活用する。
“チップを切り替えよう”。なにか物事が上手く運ばなかった時、いつまでもそのダメージを引きずっていても仕方ないので、次なる挑戦へ集中して向かっていこうという際によく用いられる表現です。前節のベティス戦に続き、先週末のヘタフェ戦でもまたソシオを満足させられない試合を行い、ついには白ハンカチまで乱舞したカンプノウ。怒りの矛先はラポルタ役員会に向けられ、クラブはここ数年で最大規模のクライシスに見舞われることとなりました。しかしバルサにはまだチャンピオンズ制覇という最大の目標が残されており、これは上手く使えば、最高のビタミン剤にもなりえます。明日のシャルケ戦に勝利すれば、バルサには“希望の2週間”が与えられる。大いなる可能性を広げてくれる、非常に重要な試合です。
◇早急なる建て直しが必須
ヨハン・クライフ御意見番は『エル・ペリオディコ・デ・カタルーニャ』紙での連載コラム最新版にて、「リーガはまだ誰が勝ったわけでも、負けたわけでもない。バルサは早急にエラーを修正する必要がある。でなければ、マンチェスターには勝てない。文字通りのアディオスとなるだろう」と述べています。バルサはとにかく、一刻も早くエラーを修正すべし。御大はリーガはまだクラシコも残されているし、なるようになるだろうと見ている模様です。それよりも彼が気にかけているのが、月末に待ち受けている(ことになっている)マンチェスターとのチャンピオンズ1/2ファイナル。明日のシャルケ戦は突破するのが当然のこととし、次なる戦いを今季最大の見せ場と考えているわけです。
これまではよく、「今季のバルサは2つの顔がある」というふうに表現されてきました。しかしこのところはその2つの顔がひとつになりつつあり、ヨーロッパではファンに希望を持たせ、リーガでは失望させるという色分けは利かなくなっているのが現状。先週のシャルケ戦も内容はお粗末そのものであり、相手がバルサを必要以上に警戒してくれたことによって、どうにか0-1を持ち帰ったにすぎません。この流れでいけば、明日のシャルケとの第2戦にも選手たちはリーガのお寒いプレーを引きずるはず。そしてそれで勝てたとしても、エラーが改善されなければマンチェスター戦で「恥ずかしい」なんて言葉では済まないような経験をしかねない・・・。恐ろしいことです。
◇マンチェスターに全照準を合せる
というわけでここからの2週間は、(シャルケに勝つことを大前提として)マンチェスター戦をいかにベターな状態で迎えられるか、そのための準備期間といたしましょう。こんな惨めなシーズンを送るバルサではありますが、ちょっとくらいは心から盛り上がれるご褒美があったっていいはず。ユナイテッド戦(しかもセミファイナル!)はクレが全身全霊を賭けて楽しめる最高のカードでありますし、クライフが「プレミア勢で最高の完成度」と評価するお相手。そんな最強チームとこの時期に本気で戦えるわけですから、それ以上に望むことなんてありませんし、くれぐれも“無礼”のないようにしなければなりません。ヘボバルサがボコられて終わりました、では悲しすぎるし、赤悪魔インチャもガッカリでしょう。
もうすっかり信用など失ってしまった我らがバルサではありますが、さすがにモチベーションの高まる明日の試合くらいはリアクションを示してくれるでしょう。あとは第1戦と同じく、シャルケが用心しすぎてくれれば、なおOK。志は低いですが、明日はもうとにかく結果を残してくれれば構いません。そして興味を持てなくなってきているリーガ戦を、マンチェスター戦のための課題克服に用いていく。そうすればアラ不思議、すごく大切で目が離せないゲームになってくるではないですか。チップがきっちり切り替わった気がします。
また、チームが難局を乗り切っていくためには、ファンの強力なサポートが不可欠です。カンプノウがオールド・トラッフォードたることは有り得ませんが、少しでもスタンドからの熱い声援をもらうためには、ここからの2週間で、裏切った期待を精一杯に挽回するしかありません。戦術的にダメなのはもう仕方ない。しかしチーム全体が同じ方向を向き、汗を流し、ピッチ上で持てるすべてを出し尽くすことは可能なはず。それこそがファンがチームに求めることであり、勝ちたいんだとの姿勢がプレーに感じられれば、自ずと熱い応援は飛ぶでしょう。まずは明日、ファンの目の前でその第一リアクションを示すことです。
◇役員会もリアクションを求められている
そしてピッチ上のチームライカーと同じように、リアクションを求められているのが、ラポルタ会長率いる役員会です。ヘタフェ戦終了の笛が吹かれるまで、忍耐強くチームを応援し続け、終わるや否や白ハンカチを登場させたバルセロニスタの怒りの多くが、パルコへ向けられていたのは火を見るよりも明らか。カンプノウにハンカチが舞うのは、それこそ末期状態の徴であり、本当に心からウンザリさせられているんだとの意思表示です。ヌニェスしかりガスパーしかり、パニョラーダを喰らった会長はしばし後に、その座を後任へと譲ることになっています。このまま役員会がなんのリアクションも示さなければ、待っているのはさらに盛大なるパニョラーダと、「ディミシオン!(辞めろ!)」の大合唱。ラポルタはガスパー時代のその光景を、今度は自分のこととして思い出さねばなりません。何が間違っていて、何をどう改善すべきなのか。それも出来るだけ早くです。
ヘタフェ戦の失敗を受け、バルサは代表者委員会なる、要するに責任者と呼ばれる人たちが集まっての緊急会議を行ています。。そこでは何故クラブがここまでややこしい状況に陥ったのか、という重要にして恐ろしく基本的なことが分析、話し合われ、夏から春先までの数々の決断に誤りがあったと確認されたそうですが、たとえロナウジーニョやライカーにバルサでの未来がないことが分かったところで、緊急のシャルケ戦にどう当たっていくべきか、その答えは導き出されていません。役員会の最後の望みは、チャンピオンズ。言ってみればこれは運を天に任せたロシアンルーレットのようなもので、敗退という弾が放たれた瞬間、サヨウナラ〜てな話です。
幸いないことに、チャンピオンズは多分にして“奇跡”なんてものが起こってしまう大会です。マンチェスターとの勝負が、“5回戦って3勝したほうが勝ち抜け方式”であれば望みもかなり薄くなってしまいますが、ホーム&アウェイ方式であれば、どうにかならないことはない。どうせ厳しい可能性なんですから、ここはチップを切り替え、ポジティブに考えていきましょう。悲観しても、凹むだけです。まだ決戦には時間があり、やる気があれば多少の修正は効くでしょう。明日の試合に勝てば、2週間の修正期間が手に入る。本気のやる気モードにスイッチが入らないなんて、どうして否定できましょうか。マンチェスターに勝つため、チームを仕上げていけば、リーガでも結果は付いてくるはずですし、その間に白組がまた転んでるかもしれない。そんな上手い話もなくはないのです。でもまずはそのために、明日のシャルケ攻略に全力集中です!
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