4-1:ボーージャン!
2ゴール2アシストの大活躍で、勝利に大貢献の17歳。
ジェットコースターのように激しく、浮き沈みのある07/08シーズン。喜んだかと思えば落胆し、失意に沈んだかと思えば希望の光に表情を輝かせる。ある意味、考えようによっては非常に楽しめるシナリオが描かれているリーガ・エスパニョーラはまたも今週、大きな転機を迎えることになりました。コパを失って傷心のバルサがバジャドリに勝利し、マドリは地元でバレンシアに痛恨の逆転負け。これにて両チームの差は再び4となり、優勝争いはまたも混沌さを増しています。“2強”がもたつく隙にビジャレアルが調子を上げ、タイトル競争に加わったことにより、今後の展開が楽しみになってきました。
◇上位3チームに、優勝の可能性が
やはりコパでバレンシアに敗北したのは、今週末リーガで彼らを調子付かせ、マドリ撃破を実現してもらうためのバルサからの強力な援護射撃だったのではないか・・・さすが切れ者ライカーの壮大なリーガ奪還戦略・・・。間違ってもそういうことはないでしょうが、どう判断するかはファンの自由です。ただでコパを失ったのでは悔しすぎますので、調子のいいクレとしましては、そのように都合よく解釈しておくのが精神衛生上よろしいのではないでしょうか。いずれにせよ、バルサを破ったことで気を良くしたコウモリ軍団が、ベルナベウで願ってもない仕事をしてくれた、それは事実です。しかも劇的な終了間際のゴールでマドリが散ったというのは、追っ手としてはありがたい。白組のロッカールームは、かなり湿っぽくなっていると推測されます。
どうやらクライシスの度合いでは、マドリさんがバルサを一歩リードというところでしょうか。しかしバジャドリを4-1で下したからといって、即座に“バルサ復活”と喜べるわけではありません。守備は相変わらず不安定であり、バジャドリに運があれば、スコアはもっと接近したものとなっていたでしょう。なので重要なのはこの次からの試合で、きっちりと3ポイントを重ねていくことです。背後にはバルサに対しゴール・アドバンテージをもつビジャレアルが迫っており、まったく気を抜けません。“2強”が勝手に転びあっているうちに、リーガはイエロー潜水艦も含めたサバイバルへと変化してきました。楽しいといえば、楽しい状況です。
◇内容に比べ、出来すぎのスコア
スコア的には4-1の圧勝ということで、とりあえず今日は気分よくおいしいご飯なりお酒なりを楽しんでいればいいでしょう。白組さんの失敗もアクセントとなり、箸は快調に進みます。しかし実際のところは、このスコアは少々出来すぎのところがあり、これに騙されてしまってはいけません。シーズンに何度かある、内容以上に勝ってしまった試合、それが昨日のバジャドリ戦です。ダイジェストだけ見ればたしかにバルサの大勝なのですが、ゲームが与える印象はそうではありません。先制するまでのプレーは、それなりに良かったです。もっと致命的でえぐるようなパス展開が見たかったですが、現状からすれば合格点といえましょう。チャンスもいくつか作れていました。
ただ、問題は厳しい判定によるペナルティで同点にされてからです。ガックリくるのは分かりますが、それで浮き足立つのはカンペオンのチームとはいえません。今回は後半すぐのイニエスタのゴールで落ち着きを取り戻しましたが、いつもそう上手くいくとは限らない。このよくある失速が自信の欠如によるものであり、克服は思うほど簡単ではないにしても、集中力を高めることによって追い詰められる状況を防ぐことは可能でしょう。ペナルティをとられるに至ったのも、元はといえば危ない位置でパスをカットされたからです。あとは、クリア方法が以前に比べ明らかにドタバタしています。守備の乱れと共に、成績も低下しているバルサ。また鉄壁の守備ラインを作れるかどうかが、タイトル奪取のカギであるのは間違いありません。
また今回はさほど行き詰まり感はありませんでしたが、エトーが右サイドの選手でないのは知れたことです。カメルーンの黒豹は、やはり本来は“9番”ですから。しかしだからといって、ボージャンをサイドに張らせるのも違います。彼もエリア内で仕事をして、なんぼの選手です。その一方で左サイドでは、アンリがひとり孤立気味。中盤も含め、どうもバランスが宜しくないところがある。このあたり、もっと上手くやれる方法はあるのでしょうが、シーズンの今頃になって改善を期待するのは無理な話でしょうか。まあメッシもマルケスも怪我に泣き、トゥレが腰痛と格闘中なのですから、仕方ないところもありますが。
◇若者たちのやる気を、ベテランにも是非
とまあ、ひとしきり愚痴ってしまったわけですが、もちろんまたマドリから3ポイントを縮小できたことは、非常にポジティブで明るい要素です。昨シーズン中盤から終盤にかけてのバルサも相当に悪かったわけですが、このところのマドリはそれに輪をかけて酷い状況にあります。彼らは昨日の敗戦で、早くも今季7敗目。バルサの昨季の負け数を上回りました(ちなみに去年、マドリは8敗でカンペオン)。2位のチームさえしっかりしていれば、いまだに首位に立てているようなチームではない。この流れでいけば、彼らは残り9試合でもう少し負けることでしょう。そんなチームがカンペオンでは、さすがにリーガとして恥ずかしすぎです。この週末、シャトル便に乗って、再び希望が首都方面からバルセロナへと戻ってきました。もう二度と、この贈り物をあちらへ送り返す必要はありません。素直に受け取りましょう。
コパからの敗退やロナウジーニョ問題によって、凹んでいるバルサに喜びをもたらしてくれたのは、17歳の若きクラック、ボージャン・ケルキッチ少年でした。彼はまるで、ぱさぱさのパンを食べた後に飲んだ、清涼飲料水のよう。彼の溌剌としたプレー、並外れたゴールへの嗅覚と才能を見たことによって、バルセロニスタはまた一週間、幸せな気分で日々を送ることが出来ます。未来の希望ならぬ、現在の希望、ボージャン。ラウールが2点決めながらも散ったマドリと、ボージャンの2点で勝ったバルサと、なんとも象徴的な結果といえるでしょう(そう思いたい)。
わずか17歳の少年が昨日の試合でキープレーヤーとなったのは、その才能のみならず、彼が他のスター選手たちよりも何割増しかで、やる気に満ちていたからではないでしょうか。いいプレーをしたい、勝ちたいという気持ちがボージャンのプレーからは伝わってきました。だから彼は違いを見せられたのです。大御所たちが失っているそういった渇望を、ボージャン、そしてイニエスタは持っています。勝ちたいと思う選手が集うことによってのみ、カンペオンと呼ばれるチームは出来上がる。なのでそういった若い選手のハングリーさが、これからベテランたちに感染していきますように。全員が勝ちたいと思えれば、リーガは余裕でバルサの元へやってきますよ。
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