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トップページバルサニュース過去記事>3月19日

 

2007年3月19日

ボーナス。

 

最終兵器である“ニンジン”を、用意してきた会長。

歴史的トリプレッテの可能性を残しておきながらも、雲行きは非常に怪しい2008年3月中旬のFCバルセロナ。これは明らかにリーガでの情けないプレー、それに度重なる怪我人などによって巻き起こされたものなのですが、シーズンをいい形で終えようとするならば、この雰囲気はさっさとどこかへ片付けてしまわねばなりません。そのきっかけとして最適なのは、明日に控えているバレンシアとのコパ1/2ファイナルです。この試合に勝利すれば、バルサは実に10年ぶりとなる決勝進出。沈んだムードも、幾分明るくなるでしょう。しかしエラーをすれば、一気に大炎上する危険性もはらんだ試合です。そこで会長はチームに、勝利ボーナスを提示しました。

 

◇「死ぬ気で戦う」とエトー

正直な感想として、このライカー・バルサからは“絶対に勝つんだ”という闘志、みなぎる精神エネルギーのようなものは感じられません。どこか自信なさげで、ハングリーさも結果への執着心も、非常に淡白な印象を受けるのです。そんな寂しい状況の中でも、あえてチームメイトたちを奮え立たせることが出来る選手は誰かと問えば、その答えはサムエル・エトー。最近はめっきり同僚たちのダメムードが感染してしまっている感はありますが、ここでこそ彼に奮起してもらいたいところです。そしてサミはチームにおける自らの役割をしっかりと認識しているのでしょう。バルサ公式ウェブにて、エトーは次のようにコメントしています。

「バレンシアでは、僕らは生死を賭けて戦うよ。僕らは今、シーズンのすごく大事な局面にいるんや。もしバレンシアを倒せば、僕らはまた一歩コパ制覇という夢に近づくんやからね。僕らはバレンシアに謙虚に、そして死ぬ気でいく。僕らが敗退するとすれば、それはバレンシアが僕らよりも素晴らしかったということやけど、僕が苦しみぬくプレーが出来れば、僕らを倒すのはすごく難しいことやと確信してるよ。」バルサはリーガでのここ数戦を、“勝つしかない試合”と位置づけてきました。それらは死ぬ気で戦う必要がある“決勝戦”だったはず。しかし結果は見てのとおり。果たして今度こそ、選手たちは生死を賭けたプレーを披露してくれるのでしょうか。

 

◇決勝に行けば、勝利ボーナスを約束

世界中にその名を馳せるFCバルセロナともあろうチームが、ここ数試合は結果も内容もさっぱりであり、メディアやファンから「情けないったらありゃしない」と非難されているこの状況。バルサエスクードの入ったユニフォームに身を包む選手であれば、それだけで誇りや意地を刺激され、「なにくそ、次は見てろよ」と闘志をメラメラに燃やしまくってもらわなければなりません。暗黒時代の負け犬根性が復活していなければ、きっとクラックたちは怒りに燃えている。コパのセミファイナルは、なにをせずとも自ずとプライドを存分に示してくれるだろう。クレとしてはやはり、そう信じたいところです。しかしそれだけで不十分というのなら、燃焼促進剤を投入してもいいですよ、というのがバルサ会長ジョアン・ラポルタ。彼は昨日ロッカールームへと出向き、もしバレンシアを攻略すれば、勝利ボーナスをあげようと約束したそうです。

今のバルサ選手の給料は、基本給と出来高による二段構造となっています。タイトル獲得による成功報酬は、当然ここに含まれている。なのでひとつの試合に勝つだけでボーナスというのは例外的な措置であり、ラポルタ時代では初登場となるモチベーション策です。昨日ラポルタ役員会は緊急プチ会議を行っており、その話し合いで選手刺激策もテーマとなったのでしょう。その会議後にラポルタとチキはロッカーへ出向き、臨時ボーナス決定を伝えています。気持ち的には「負けたら罰金!」てな感じにしてほしいくらいですが、なんとも気前のいいお話で。

シーズンがこの段階となって、このライカー・テクニコがいきなりガラッと生まれ変わり、戦術的にチームを“2008年度版スペシャルバルサ”にしてくれる可能性は、ほぼゼロです。ならば不振の一大理由であるメンタルを刺激するのが有効となりましょうが、ボーナス案が妥当かどうかはかなり微妙。正当性に疑問がありますし、このチームの抱える問題は規律と統制の欠如だからです。ちなみにラポルタは警告として、シーズンが惨事に終わった場合、抜本的なチーム見直しを行う可能性があるとも告げたようです。もし負ければ大惨事への序章となるであろうバレンシア戦。役員会の危機感もかなり強くなっている模様。

 

◇上手くいっても、それでOKではない

ところでこのラポルタのロッカールーム訪問時に、渦中のロナウジーニョはいませんでした。クラブ医療部によって“故障箇所見つからず”の報告書を発表された彼は怒り、チキや医療スタッフなど手当たり次第に説明を求め、スペシャルメニューによる練習をさらっとこなした後、早々にカンプノウを後にしたからです。その一方でロニーは、「違和感があろうとなかろうと、バレンシアでプレーしたい」との意思をメディアに伝えています。これに対し、ライカーはどう反応するのか。今日チームは試合に向け、バレンシア遠征に出発します。チームとはすでに一週間も練習をしていないことを理由にリストから外すのか、意気込みを評価して帯同させるのか。どちらにしても騒がしくなりそうですが、やはりここは外すのが筋ってもんでしょう。呼んでしまうと、“ロニーの勝利”のように捉えられてしまいかねない。“罰で外した”と騒がれるほうがまだマシです。

このシーズンの非常に大事な局面で、試合に集中できないこの状況。ラポルタらも事態を少しでも収束させようと懸命のようですが、上手くいっているとはいえません。ロッカールームで会長は選手たちに外部での混乱に影響を受けないこと、一致団結すること、今一度プロ精神を思い出すことを求めています。そして勝てば褒美を授けるとも。一部でプロフェッショナル精神が不足しているがゆえにこんな状況を生み出したチームに、ここでボーナス?やはりどう考えてもトンチンカンに思えてならないのですが、まあひょっとしたら最高のカードなのかもしれません。もし上手くいけば、これからずっとニンジンを目の前にぶら下げますか。

しかし間違ってもらいたくないのは、仮にこれでいくつかのタイトルを取れたとして、現チームで次のシーズンもOKではないということです。もし奇跡が起きてリーガで逆転優勝しても、それでチームに内部規律やプロ精神、献身精神が戻ってくることはないでしょう。次も同じような問題に振り回され、同じような批判に苦しむのです。今季のバルサは、まるで去年のデジャブです。来季もそうなりたくなければ、タイトルを獲っても抜本的変革が必要。それがきっとバルセロニスタ多数の認識ですし、役員会にはそれに気づいてもらいたいところです。でもラポルタさん気づくかなあ、怖いっす。

 

 

 

 

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