ロニーに“異常なし”。
精密検査では、負傷は見つからなかったクラック。
先日のアルメリア戦に、右太ももに違和感があるとして召集メンバーから外されていたロナウジーニョ・ガウチョ。そして彼は昨日、患部の具合を確かめるため精密検査を行ったのですが、奇妙なことに検査ではこれといった異常が特に見つかりませんでした。注目すべきは、これまでならあたり障りない発表をしていた(あるいは発表すらしなかった)クラブ医療部が、その事実を正式に報告した点です。これが意味するもの、それはクラブはもうロナウジーニョを特別扱いせず、プロとしてきちんとした行いをしてもらうという意図の表れなのでしょう。そうしなければならないほど、ロッカールームが怪しい状態になっているのだと思われます。
◇原因不明の違和感
「右太もも内転筋への選手の継続する違和感の原因を探るため、私たちは本日午後、磁気共鳴装置(MRI)による精密検査を実施しました。そしてその結果、靭帯ならびに筋肉には一切の負傷箇所がないことが判明しています。選手には今後、違和感を解消するための特別治療を施していく予定です。」これが昨日の午後、FCバルセロナ医療部によって発表された、ロナウジーニョの負傷に関する報告書です。ロニーはここ数日 右太ももに違和感を感じており、それを理由に彼はアルメリア遠征のメンバーから外れ、木曜日のコパ1/2ファイナルへの出場も事実上却下されています。選手の健康を預かっている医療部としては、その違和感の原因を調べるのはごく当然。そして結果は“異常なし”だったわけですから、「仮病?」となるのも仕方ないでしょう。
今年1月、ロナウジーニョはしばらくヒザへの“謎の違和感”で現場から離れ、1ヶ月ちょっとのリハビリに励んでいます。この時は、彼の言葉をそのまま信じて検査は行われていません。そして今回は検査をして、結果はこのとおりです(だから以前も・・・ということではない)。違和感なるものは本人にしか感知することは出来ず、他人にはそれが何故なのかは分かりません。治療は本人が「違和感がなくなった」と言うまで続くことになり、目で見てとれる筋肉などの損傷と異なり、他人から見て「治った!」ってことがない。要するに、本人を信じるしかないのです。
◇もうこれ以上、好きにはさせられない
報告書には一応ながら「治療を続けていく」と書かれ、ロナウジーニョの体裁を保とうとはしていますが、これによって彼への風当たりが強くなるのは間違いありません。しかしクラブはラポルタ会長やマーク・イングラ副会長、チキGMら上層部の承認を経て、この嵐を呼びかねない報告書を発表するにいたっています。それすなわち、彼ら上層部を含めクラブ内部にはロナウジーニョのプロフェッショナル精神へ不満を抱く勢力が多数いるという証であり、彼らはこのクラックの振る舞いがチームに危害を与えていると考えているからなのでしょう。リハビリのために母国へと帰るメッシの“送別会”だ、深夜のエトーの誕生会だ、はたまたいつものクラブ集会だ、とロナウジーニョには夜遊び話が尽きることはありません。クラブもついに、イライラの限界に来ましたか。
クラブもこれまでは、ブラジリアン・クラックが少しでも復調できるよう、そのプロ精神に欠ける振る舞いも大目に扱ってきました。しかしこの期に及んで、ロニーをもっと寛大にやさしく扱いましょうよ、などという声があることに、堪忍袋の緒もぶちりという音を立てる寸前のはず。チームが順風満帆であるならいざ知らず、危機的状況にある中で、それでもなお真剣に任務に取り組まない選手(しかも大物)がいたとするなら、それがグループにとっていいことであるわけがありません。選手たちは「内部のことは内部で処理」の鉄則に従い、ロニーのことを表立って非難することはないです。むしろ、公には擁護するでしょう。しかし実際のところは、彼に苛立っている選手がいるのが実情のようです。
役員会がその振る舞いに失望し、ロッカールームでは同僚たちから煙たい目で見られるようになり、監督からも以前のような信頼はすでになく、最後まで応援していたファンも徐々に落胆が期待を上回ってきている今日この頃。ロナウジーニョにとっての最後の防波堤は監督やファンの信頼だったのでしょうが、それを失ってきたとなれば、行き着く結論はただひとつです。ロニーのバルサでの状況はもうすでに回復不能な段階にあり、この狂った歯車は二度と元の位置に戻ることはない。ひとつのサイクルが、悲しい音を立てて終わろうとしています。
◇チームをまとめる特効薬となるか
この発表がロナウジーニョの再起(奮起)を願ってのことなのか、彼が“終わっている”理由をただ明らかにしたかったのかは分かりませんが、これによってクラックの立場は非常に苦しくなりました。まあいずれにしても、これまでのように甘ちゃんな遇し方ではほぼ絶対に彼は復活しなかったでしょうから、今後のリアクション(正か負か)には注目いたしましょう。怪我もないのに怪我をしているとするのは宜しくないし、正確な情報を提供することにより、外野のファンとしてもロッカールームが何故分断されているのかなど、正しく事情を判断する材料となります。アルメリア戦で彼を外した理由を「怪我をしているから」と説明したライカーについても是非を問われることになるでしょうし、なんにせよ必要とされる情報の透明性が上がるのは、チームにとっていいことです。
ちょっとした息抜き程度の夜遊びなら全然かまわないのですが、それがプロとしてやるべき仕事に悪影響を及ぼすのならば、本人に自制が不可能なのであれば周囲が、縛りをかける必要性も出るでしょう。バルサはこれまで、奔放すぎるクラックに甘すぎたといえます。そしてクラブ提供情報をほいほいと流すメディアの“クラックは頑張っている”報道をファンは信じ、「いつの日かきっと復活を」とはかない願いをしてきました。でもそれは、彼のためにはならなかったようです。そして今回の発表。クラブ上層部はようやく重い腰を上げ、“喝!”を入れる決断をしました。ロニーを切っても、チームにここで刺激を与えねば、手遅れになる・・・これはそういう判断によるものでしょうし、この一撃が弛んだロッカーを締めることになるのを願います。
ただそういった思惑も空しく、これが劇的な特効薬となることはきっとないでしょう。混乱に落ちってしまったチームが、そう簡単に立ち直るほど世の中甘くありません。チキがいまさら「ピッチ上にリーダーがいない」などと嘆いたとしても、チャビが「僕らには成熟が欠けている」などと認めたとしても、それは後の祭り。じゃあこれまでの長いシーズン、いったい何をしてきたのかと小一時間問い詰めたくもなります。ただし、これらのダメを認める発言は、チームのスター選手の中には給料に相応しくない人物がいて、テクニコが仕事をしてこなかったという証言として非常に有効です。建前でいつまでも取り繕っているよりは、数倍サイコーってとこでしょうか。
ここにきて、ライカー・テクニコに求めることはひとつ。お願いですから、このチームに規律というものを本当に導入してください。いつまでもその場しのぎの付け焼刃なんて、もう限界。タイトルを本気で獲得したいと思っているなら、バルセロニスモにくすぶるこの不満に早く目を向けてください。タイトルの可能性はまだ3つも残っているけど、今のままで事が上手く運ぶと考えているなら、それはあまりにも楽観的すぎます。いつもいつも、同じ反省コメントはもうたくさん。シュスターはリアソールでみっともない敗北をしてマドリーへ帰ってきたその夜、選手たちに罰として練習をさせたそうですよ。そういう姿勢が、バルサには必要じゃないですかね?
|