2-2:ダメだこりゃ。
勝つしかない試合で、1ポイントしか積み上げられないとは。
もはやトホホと言うしかありません。「勝利しか意味がない」と試合前にジョアン・ラポルタに檄を飛ばされておきながら、2度もリードを奪ったにもかかわらず、2度のコーナーキックによって勝利を手放したバルサ。プレー内容にもチームとしての一貫性が見当たらず、その点で正反対のアルメリアにきっちりとやられた形です。ミリートの退場は厳しい判定でしたが、それ以前に勝負を終わらせておけなかったところが問題。なんら言い訳とするべきものではありません。勝てていれば流れも変わった節目のゲームで結果を残せず、ダメな印象だけを残したバルサ。マドリもダメですが、バルサはもっとダメ。これで優勝なんて、夢物語です。
◇「リーダーがいない」とチキ
“勝つしかない試合”なるものには当然、プレッシャーが伴います。それはきっと経験しないと分からないほどのしんどさなんでしょうが、それに打ち克つために集められているのがバルサというチームを構成するスター選手たちであり、彼らは勝てると見込まれているからこそ、高い報酬と地位をもらってプレーしているわけです。その勝利のためのプロ集団が、こんなにも情けない状態になってしまったのは果たして彼ら自身のせいなのか、あるいはチーム管理をやっているとも思えないテクニコのせいなのか。それは外部から計り知ることは困難なことですが、内部の人間であるチキ・ベギリスタインはアルメリア戦でのハーフタイム中、次のように悲しい現状を分析しています。これはいつもは無難コメントに終始するチキにしては、珍しいことです。
「このチームには、ピッチ上でのリーダーがおらへんよ。必要とあればゲームを止め、チームを落ち着かせてくれるリーダーがね。このチームにはとにかく、落ち着きがない。ただ私が言う落ち着きというのはのんびりとプレーすることやなく、試合のリズムをコントロールし、しっかりとボールを回すということなんや。彼らは同点にされた後、プレーをコントロールできなくなっていた。私たちは5分で、冷静さを失ってしまっていた。」1点のリードを奪っただけで満足し、同点にされれば動転する。たしかに、“カピタン”たる存在がこのチームにはいません。
◇負けに等しい引き分け
せっかく首位のマドリさんがリーガを盛り上げてくださいとばかりに提供してくれた挽回のチャンスを、またしてもバルサは無駄にしてしまいました。彼らはある意味、自分たちにはカンペオンになるだけの強さがないから、バルサさんにその座を譲ってもいいですよ、と言っているようなものです。しかしそれ以上に王者の風格を漂わせてないのが、タイトルを取るチームならここぞというゲームでまったくしぶとさを見せられない我らがFCバルセロナ。もはや今回は、「1ポイント積んだことに意味がある」などと悠長なことは言っていられません。このエンパテは、負けに等しい。しかも2度リードを奪っておきながら、守備的エラーが絡んでの同点だから始末が悪いです。アトレチコ戦と同様に、バルサは自分たちから勝ちを放棄しました。
わずか1点を先制しただけで、エトーをひとり前線に残し、中途半端に下がろうとするその意識。それは是が非でも3ポイントを必要とするバルサなるチームがすべきことではありません。バルサなら一気に、畳み掛けるのが常道。こんなチームに、アルメリアは恐怖を感じなかったでしょう。守りにおいてもエヂミルソンの存在感は幽霊のごとくであり、彼をサポートする動きも少ない。彼ほどの経験がある選手なら、どうプレーすべきかよく判っているでしょうに。バルサの中盤は自由地帯でした。エヂさんをイニエスタに置き換えてからは幾分マシにはなりましたが、それでも本来バルサが目指すべき姿には程遠い出来栄えです。
そして過去の対戦チームの中でも、もっともセットプレーに不気味さを感じたアルメリアに対しての、バルサの集中力の欠如も目立ちました。エメリ監督は相当に、彼のチームに戦術プレーを仕込んでいます。それはもう、成り行き任せのバルサとは恐ろしく対照的。それを知っているからこそライカーは金曜に非公開のセットプレー練習を行ったのでしょうが、結果は見てのとおりです。最初の同点の場面、なぜにプリドはあれほど完璧にフリーだったのか。2失点目も、アビダルのウチェへのチェックは軽かった。セットプレーが得意と分かっている相手に、あれだけ簡単に頭で合わさせていてはダメです。
◇優勝する気は、あるのだろうか
今回のゲームはエラーを犯したマドリに5ポイント差に縮まることと同時に、今度こそバルサはライバルのエラーを見逃さず、結果を残していける“カンペオンに相応しいチームだ”ということを世に示すことこそが極めて重要な意味を持っていました。状況は異なりますがビジャレアル戦と同じく、リアクションが出来るんだと示すことが大事だったのです。けれども結局のところ、先週に続いてリアクションを見せることなくポイントを失ったバルサ。正直なところ、今回の1ポイントには大した意味なんてないです。この1ポイントではまったく、センセーションは起こせません。この週末はバルサにとって、大転機となる可能性を秘めた週末でした。しかし終わってみれば、むしろ警告灯が点灯したのはバルサの方。試合を重ねるごとに、クレの信頼も薄らいでいってます。
今回も試合後の会見で繰り返された、監督や選手たちによる「私たちは最後まで戦う」、「最後まで諦めない」などの発言。もはやここまできては、その言葉に信憑性などありはしません。過去に何度、同じフレーズをバルセロニスタは聞かされてきたことか。全力を尽くしながらも、あと一歩力及ばず引き分けたならともかく、本気でリーガを獲りたいのかを疑問にしか思えず、バルサのユニを着ていることへの誇りを感じさせないプレーの数々・・・。スペクタクルなんて今季はゼイタクと悟って以来、クレがチームに求めるのはとにかく勝利への執念が漂う熱いハートのプレーでした。たしかに選手たちは走っていますし、汗もかいてますし、戦ってもいましょう。でもそれだけじゃ不十分なんです。なんとなく、どこか虚ろに彼らは走り、戦ってるように見える。それではファンは感動しません。
07/08のリーガは、本当に強いチームがいればカンペオンになどなれるはずのないチームたちによる、“失敗の少なかったものが勝ち”合戦となりました。首位チームが最悪の試合で与えてくれたチャンスを、負けず劣らずの酷いゲームでお返しする気前のよさ。ダメのレベルが低かったものが優勝するとは、いつの間にやらリーガも落ちてしまったものです。マドリはきっとこれからも、一度ならず追っ手にチャンスを提供してくれるはずです。しかし肝心のバルサに、追撃をかける意志が見当たらない。下手すればこの木曜日、バレンシアで最初の“悲劇”が待っているかもしれません。傷ついたもの同士のコパ1/2ファイナル。さらに傷つくのはどっちだ?
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