ローテーション。
アトレチコ戦の負けによって高まる、ライカー式采配への疑問。
もともと、選手起用に関してはセンスがないと言われてきたフランク・ライカーですが、アトレチコ戦での先発メンバーが再び、ローテーション論議に火をつけています。怪我人たちの復帰により、以前に比べ選手層にゆとりが出てきた昨今、ライカーは積極的にローテーションを導入。クラックたちを順番に休ませているのですが、問題はその対象選手がタイミング的に正しくないと思える場合があることです。カルデロンで監督はメッシを先発から外し、トゥレを召集しませんでした。そしてゲームは先制しながらも押し切ることができずに、アグエロにやられての逆転負け。本当にメッシはベンチに温存する必要があったのか?ライカー采配への疑問が百出する今日この頃です。
◇機械的なローテーションはNO
07/08シーズン序盤の不調の原因には幾つかの理由が考えられますが、監督であるフランク・ライカーがその時点でのベストフォームン選手を起用せず、ネームバリューを優先させて先発を決めていたことも間違いなく主要要素といえましょう。状態が不十分だったロナウジーニョとデコを先発させ、惨めに散ったクリスマス・クラシコなどはその典型例です。しかし御大ヨハン・クライフなどによるメディア経由のアドバイスが効いたのか、その後のライカーはフォーム優先の起用を行うようになります。ロナウジーニョはベンチへ、そして季節外れのミニステージへと送り込まれました。そして最近、ライカーの采配で目に付くようになったのは、いわゆるローテーションです。
ローテーションは過密スケジュールから選手たちを守るため、行われます。疲れが見える選手、明らかに負担が大きくなっている選手を、それぞれの大会の状況などを考慮しつつ、休ませるのが基本。バルサは怪我人の多発によってローテーションをする余裕がなかったのですが、ここ最近は戦力が充実。ライカーはほぼ自由に、ベストのメンバーを組める特権を手にしました。となると逆に問題となるのは、“クアトロ・ファンタスティコ”たちの扱いです。誰もが大スターのクラックたちに、不満を抱かせることなく平等に起用しなければならない。それを優先しすぎると、フォームではなく機械的に休日を設定してしまうという事態が発生してしまいます。
◇セルティック戦はアトレチコ戦より重要?
チャンピオンズといえども多少の選手温存をしていい試合もあれば、リーガであっても全力で勝ちに行く必要のある試合もあります。そのへんは臨機応変に、状況によって起用法は変えていかなければならない。そうではなく、無条件にチャンピオンズ>リーガのようなことをすると、おかしなことになるのです。ライカーはどうも、リーガよりもカップ戦に重きを置いているところがあります。このところの召集傾向はずっとそんな感じ。たしかにリーガは長期戦、あとに挽回のチャンスも巡ってきますが、だからといって二の次にしていいわけはないです。少なくともアトレチコ戦は、ライカーは最強メンバーで勝ちにいくべきでした。明日のセルティック戦より、タイトルのための勝負所だからです。
アトレチコはバルサ戦に、最高の持ち駒であるアグエロを少々無理をしてでも出場させるという方策を採ってきました。かえってバルサはそんな“絶対に勝ちたい”と願う相手に対し、最高のオプションであるメッシを温存し、結局使わざるを得なくなった。そもそも後半普通に出場できる選手を、この大事な一戦で休ませようとしたのかを、外野のファンには理解することは出来ません。これはエヂミルソンよりも遥かにチームにバランスをもたらしてくれる岩男、トゥレ・ヤヤにも当てはまります。フエラで2-3で勝利しているセルティック戦より、恐怖のアグエロ封じのために彼を用いようとするのが、一般的なセンスでしょう。
そもそもメッシとトゥレはチャンピオンズで出場停止にリーチ状態です。グラスゴーでの第1戦でわざとカードをもらわせ、アトレチコ戦にぶつけるべきだったのです。明日の試合でカードをもらえば彼らは、1/4ファイナル第1戦で使えなくなってしまいます。メッシとトゥレを休ませたのはフィジカルコンディションを考慮してとライカーはアトレチコ戦後に説明をしていますが、カード制裁の件も含め、もっと総合的に考えてローテーションは採用すべきでしょう。彼らが先発していればアトレチコ戦に勝てたとは限りませんが、こんな種のフラストレーションを溜め込むことはありませんでした。
◇必要な選手にだけ、正しいタイミングで休息を
昨日メッシとトゥレ・ヤヤはいつもどおり、なんらフィジカルに問題を抱えているふうもなく、精力的に練習をこなしています。つまりは監督の言い訳には説得力は感じられないわけで、単にリーガよりもチャンピオンズを重視しただけのことでしょう。ローテーション結構。ただしそれは、必要な時に必要な選手を休ませる場合に限ります。フォームが上々で、若く体力も回復力もある選手を順番だから、などという理由で休ませるのは、本人にとっても合点はいかないはず。ローテーションはチーム状態をベストに保つための方法論であり、杓子定規に適用すべきものではないのです。
バルサはいま、幸いにも3つの大会で生き残り、タイトルを目指しています。これがマドリのように2つだけに生き残っているより、アトレチコのようにリーガのみに専念しているより、選手のやりくりが難しく、また負傷のリスクが高まっていくのは理解できます。しかし選手起用の鉄則は、“ベストの選手をプレーさせる”こと。ローテーションさせるのは、そうしなければフォームが崩れてしまう選手と、その試合でもう頑張る必要のない選手に対してです。明日のセルティック戦、勝負が決まった時点でさっさと主力を下げるのは問題なし。出番に恵まれない選手にチャンスを与えましょう。その代わり、先発はベストのメンバーで一気に片をつけるのです。
ちなみにベストのメンバーを選べば出番は確実になくなるエヂミルソン神父は昨日、アトレチコ戦を振り返り次のようにコメントしています。「チームは団結しているし、僕らはいますべきことは、ビセンテ・カルデロンと同じエラーを犯さんことなんや。あの試合で僕らは0-1になるまでほぼゲームをコントロールしていた。でもハーフタイム前のアトレチコの2点で、僕らは崩れてしまった。相手は勢いづいたし、アグエロの個人技が決定的やったね。でも僕らには3冠の可能性があるし、落胆する必要もない。きっとこの経験は僕らが地に足をつけるために役立つし、さらに団結を強くしてくれるやろう。」あとはライカーが過ちから学んでくれることを願うばかりです。
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