4-2:アグエロ劇場。
ロニーのゴラッソで先制するも、その後リズムを失い大敗を喫す。
ここぞのタイミングで、勝負強さを見せられなかったFCバルセロナ。クライシス状態のアトレチコ、ロナウジーニョのゴラッソによる先制点、と首位マドリ追撃へのお膳立てはできた昨夜の試合でしたが、そのまま勝ちきれずに逆転負けを食らうところが、このチームの不完全なところです。ライカーの迷采配+不運な同点弾+チーム姿勢の欠如×アグエロの爆発=ため息の出るダメな負け。弱いバルサと決別したことを示すべき試合で、チームはまた弱さを露呈したのです。幸福感あふれていたバルセロニスタはこれで目を覚まし、またイチから謙虚に一歩ずつやり直せということでしょう。次のチャンスに向け、出直しです。
◇珍しくチーム批判のライカー
「序盤、全ては私たちにとって簡単に見えた。それゆえに私たちは敗れたんや。有利なスコアとなった時には、相手にさらにダメージを与えるようにプレーするのが鉄則。試合をコントロールするだけでは不十分なんや。私たちはボールを支配していたけど、ダメージを与えられてなかった。アグレッシブさがなかったし、プレーの奥行きもなかった。私たちは完全にゲームをコントロールしている時間帯に、ほとんどチャンスを作れてない。ダメージを与えようとしてプレーしていたチームは、ただアトレチコだけやったね。そして2-1となり、チームはバランスを崩してしまった。デランテロたちは中盤に位置し、私にはどうして彼らがそうしてしまったのか分からない。そういうプランやなかったからね。明らかなのは、それが私たちの望むバルセロナではないことや。」
敗軍の将、フランク・ライカーは試合後の会見場で渋い表情を見せながら、このようにコメントしています。ライカーにしては珍しく、負けの責任の多くは選手たちの姿勢にあると批判。ここまで彼が直接的にチームのプレーを叱責するのは、あまり記憶にないことです。この試合でのチームのプレーにキレが感じられなかったのは事実。けれども先発メンバーに問題はなかったのか。そもそものダメプレーの原因はそこになかったのか。メッシをベンチに置いた理由を問われ、監督はこう理由を説明しています。「医療部からメッシはオーバーワークやと言われてたので、彼は最初からプレーさせんかったんや。エトー?彼は右サイドからエリアに向かってプレーせなあかんかったよ」
◇影響の大きかった、謎のローテーション
アトレチコのチーム事情からすればぜひとも勝っておきたかった試合でしたが、ビセンテ・カルデロンでバルサが苦杯を舐めることは想定の範囲内ではありました。フォルラン&アグエロの2トップを抑えきることは、簡単な仕事ではありません。ただ、アトレチコがバルサにとっていかに天敵であろうとも、昨日の失態はいささか自滅との非難から逃れられるものではなく、それゆえにもったいない敗北でした。それまでのゲームは、完全にバルサが支配。さらに先制点も取り、アトレチコにはカウンターによる一発攻撃くらいしか選択肢は残されてなかったのです。カンペオンを目指すチームであれば、アトレチコが主導権をあえてバルサに譲ることを計算に入れた上で、さらりといなすくらいのことが求められていた。しかし昨夜のバルサは、その真逆を行くようなことをしでかしてしまいました。
それはライカーの指摘するようなチームの精神面での問題にも原因はありましょうが、今回の場合は彼のローテーションに主要因があるように思えてなりません。ミスターがチャンピオンズに重点を置いているのは分かるとはいえ、次のセルティック戦とこのアトレチコ戦を考えれば、高い“必死度レベル”が求められるのはアトレチコ戦。そこに敢えてメッシとトゥレ・ヤヤを外してくるのですから、常人の理解を超えるのです。
フィジカルが不十分との理由でメッシを先発させなかったライカーですが、結局は後半のリードを許した時点で使うことになりました。リーガではローテーションはするものであり、今回は最初からメッシの番と決め付けていた感が漂うだけに納得できる説明ではありません。そしてトゥレ。彼もフィジカルに問題があったとのことですが、彼の場合も本当に休ませる必要があったのかは甚だ疑問です。アグエロが基点となるアトレチコのようなチームを相手にする場合、強力なピボッテが必要だったのはエヂミルソンのすかすかプレーを見てもよく分かります。さらにはデコも使わないのも、よく分からない。普通に考えればセルティック<アトレチコでしょうに、、。
試合経過、データ等はこちらのページ参照。
◇とにかく負けへ至る過程が悪い
今回のアトレチコ戦は、「バルサはもう自分たちからチャンスを放棄するチームではない」と示すことが重要な試合でした。なのにバルサは敗れ、それもスーパーなコルチョネロに敗れただけではなく、ちょっと上手くやれば勝てていたであろうゲームを落としたのがよろしくないです。マドリとの差が5ポイントに拡大したのは、「長いシーズン、そういうこともある」と思っておけばいいでしょう。1ヶ月で7ポイントを短縮したように、5ポイントを挽回する機会はまた訪れます。問題はそのポイント計算ではなく、せっかくロナウジーニョがゴラッソで先制した試合を、あまりにもあっさりと放棄してしまったことです。たった1点のリードでアクセルを緩め、歩いてしまうバルサの“復活”。悪かった頃のバルサがまた顔を覗かせての敗北が、印象をひどく悪いものとしています。
あのクラシコを筆頭に、これまでにもライカーの迷采配に幾度となくのけ反らせられ、それもバルサの名物か、と達観しかけていたクレにとっても、アトレチコ戦での彼の決断には疑問を投げかけずにはいられません。バルサの先発メンバーを見た時、おそらくアトレチコ陣営は「やった」と思ったでしょう。レバンテ戦、バレンシア戦といいプレーを見せたメッシを外し、ロニーを真ん中、エトーを右に配置することで事実上右サイドからの崩しを放棄したバルサ。どうしてもメッシを外すのであれば、アンリも外してジョバニを右に置くべきだったのではないでしょうか。かるく手足を縛っておいて、“もっとちゃんとやれ”と言われても限界はあります。
ただ、ライカーの怒りで尤もな点は、上でもいいましたプレーへの姿勢、負け方です。試合を支配してリードも手にしながら、それで満足して臆病となり、主導権をあっさり譲ってリアクションできずに敗れる・・・。きっかけは不運なゴールでしたが、その後の“ズルズル行っちゃいました”の追加点がよくありません。バルサのチーム状態は確実に回復傾向にあります。しかしこのような勝っておくべき試合でポカを犯してしまうところが、まだまだ本当の信頼を掴みきれない点。ロビーニョパワーによって勝利を掴んだメレンゲは、いずれまた躓きましょう。そしてそのチャンスをバルサは、今度こそ本当に逃してはならない。こういう負け方は、マヂでこれきりとなることを希望します。もう一回、一から仕切り直しです。またセルティック戦で、ムードを盛り上げさせてもらいましょうか。ふぅ。。
|