2-3:違いを見せた。
クラックたちが躍動し、久々にすっきり勝てたゲーム。
エトーがコパ・アフリカへ旅立って以降、およそ1ヶ月近くも1試合1点しか獲れない状態が続いていたFCバルセロナ。その流れとは先週末のサラゴサ戦でとりあえずお別れしていたのですが、今回のセルティック戦においてバルサは自慢の攻撃陣がようやく復活、1月12日ムルシア戦(4-0)以来となる3ゴールを決めて勝利を果たしました。なんといっても明るい兆しは、ロナウジーニョやメッシといった不調選手たちが輝き、中心となることで勝利に貢献していたこと。この感じをリーガにも持ち込めれば、かなり希望の持てるシーズン終盤にすることも出来そうです。
◇これからも、こうあるべき試合
「私たちは選手のプレーにとても満足してるよ。チームは最高の試合をやったね。私たちにとって、これは重要な勝利や。中でもロナウジーニョとメッシは信じられへんかったね。ロニーはチームのためにええプレーをしていたよ。彼はサラゴサ戦で回復の兆候を見せていたので、チャンスを与えたんや。彼の成果には、非常に満足してる。そしてメッシやけど、ヘタフェ戦のようなゴールを決める選手は、なにか違うことができるね。彼は守るのがとても難しい選手なんや。彼は並外れた能力があることを証明したよ。」
これは昨日、ベンチ入り禁止処分中のフランク・ライカーに代わりチームの指揮をとった、ヨハン・ニースケンスの試合終了後のコメントです。守備での若干のエラーによって2失点を喫したものの、試合内容と結果には概ね満足。一般ファンとしても、その見解と同じ印象を受ける試合でした。セルティックの圧力がそれほどではなかったとはいえ、個人技に頼るだけでなくパスも連ね、勝負所ではクラックの能力でゴールを陥落させる。バルセロニスタ好みのプレーが久しぶりに見られたゲームでした。
そして英雄のひとりとなったメッシはこう語ります。「リードを許す展開になったけど、僕らはリアクションの仕方を知っていた。特にすぐに反撃できたし、それがとても重要やったよ。ゲーム内容はバルサが常に勝ってたけど、その優位さがスコアにいつも反映されるわけやない。今日の僕らは、僕らがいつもやるべきプレーをしていたと思う。ゲームの主役は、常に僕らやった。」そう、バルサはいつもこうプレーすべきなんです。
◇引くセルティック、復活したメッシ
セルティックはこのバルサ戦に、守備的な意識をもって臨んできました。そんな彼らが運よく先制点を獲得できたのですから、セルティック・パークの熱狂ぶりから判断しても、かなり「イケる」と考えたのではないでしょうか。けれどもそれは、バルサにとっても好都合でした。中盤でのプレスがさほど強烈ではないにもかかわらず、エリア近くに引いて守る戦術を採用した場合、いくら本調子ではないといえバルサの攻撃陣は伸び伸びとプレーできます。2-3になっても同点を狙わず、更なる追加点を恐れたセルティック。前回の彼らとの対戦はもっとハードで、スコットの同胞のレンジャース戦でもフィジカル戦に苦労させられただけに、意外なほどに“お手柔らか”。ガッカリしたというのは言いすぎかもしれませんが、やや拍子抜けの感はあります。
とはいえ、いきなりのメッシによる復活劇は印象的でした。ここ数試合は自分ひとりで何とかしようとしすぎ、さっぱり輝きを失っていたアルヘンティーノ。正直たいした期待はしていなかったのですが、フタを開けてみればアラ不思議。先制点を奪われてすぐの同点弾、そして貴重な決勝弾を決めるなど、文句のつけようのない働きを見せてくれました。プジョルが攻め上がる時には、そのカバーも意識。2ゴールはいずれも冷静かつテクニカルなものであり、これぞクラックといえる最高のゴールです。そして彼だけでなく、ロニーもアンリも、デコもトゥレも、みんなが生き生きとプレーしていたのが好い。この感じで次からもいければ、未来は明るいと思える試合でした。
問題点を探すなら、それはやはり2失点を食らってしまった守備でしょう。まさかセルティックが堅守を誇るバルサから2ゴールを奪えるとは思いもよりませんでしたが、これはれっきとした事実。カウンターからプジョルのサイドで粘られた1点目はいつもより当たりが緩かったですし、2点目はいつもは完璧なミリートとバルデスの集中力に、ちょっとした隙が見られました。いずれも空中戦による失点であり、このあたりは確実にケアしていかねばなりません。
◇チームを変えた、“チャンピオンズ効果”
いずれにせよ、今回のバルサはまずまずでした。もう少し運があれば、ド派手なゴレアーダにもなっていたことでしょう。良かったのは単にゴールが甦っただけでなく、そこに至る過程に向上が見られたことです。2度リードされても跳ね返したメンタリティ、積極的に攻撃に出た姿勢、ワンタッチでつないだパス、前線からのプレス、そしていくつも作り出された決定機。これらはいずれも、このところ見られなくなっていた“バルサらしさ”でした。まだ結論を出すのは早いとはいえ、ひょっとしたらバルサは以前の姿に戻りつつあるのかもしれません。
そしてクレにとってもバルサメディアにとっても嬉しいことは、ロナウジーニョにもついに回復の予感が漂いだしたことです。以前までなら、ひとりチームから浮いてしまっている印象のあった彼ですが、昨日は同僚のリズムに後れを取ることなく、プレーに参加していました。1対1ではまだ昔の勇姿はありませんが、勝負を仕掛けていましたし、ボールを持ちすぎることなくパスをさばき、またスペースを求めてよく動いてもいました。クライフが先日求めていたような周囲を生かすプレーを心がけ、それは上手く機能していた。この調子でいけるのならば、先発となっても文句を言う声は出てこないでしょう。要はモチベーションだと思うので、これからも是非張り切ってプレーお願いします。
しかしなんです、ゴール不振にあえいでいたバルサがいきなりセルティック・パークで3点取れちゃうわけですから、チャンピオンズ・イムノの効果は絶大です。スコアは2-3ですが、実質的には0-3の完勝。ひとつの試合でこれほどにチームが変わってしまうのが、チャンピオンズなんですなぁ。あとはこんな勝利だけで満足することなく、リラックスすることなく、貪欲に更なる栄光を目指していってもらいましょう。こんなのは、単なるスタートにすぎません。次も、その次も同じようないい試合ができてこそ本物。その気になれば、バルサはやれます。今後レバンテ、バレンシア(コパ)、アトレチコと撃破したなら、かなり期待してよさそうです。
|