クライフ語る。
地元テレビに出演し、バルサの現状に物申した御大。
選手として、そしてドリームチームの監督としてバルサで輝かしい歴史を築き、引退した今もクラブに絶大なる影響力を誇るヨハン・クライフ。良きにつけ悪きにつけ彼の言葉は“絶対”であり、特にラポルタ政権においてはその傾向があります。チームが苦しい状況になれば、必ずや現れて一言申すご意見番。その御大が昨日地元テレビ局の人気番組に出演し、気になるところをあれこれと語ってくれたようなので、紹介しておきましょう。いつものように、なにかと含蓄のある言葉の数々です。
◇練習の足りないロナウジーニョ
ヨーロッパにおいてもここ日本においても、その圧倒的なカリスマは衰えることを知らないクライフ。第一線から退き、ゴルフ三昧の日々を送る現在でも彼の言葉には他者とは比較できない影響力があり、バルセロニスモにおいてはそれは“神の啓示”とすらいえましょう。時としてその影響力が疎ましく感じられることもありますが、クライフの言葉には「なるほど」と思わせられる部分が多いのもまた事実。昨日彼は地元TV3の番組“Gol a gol”に出演し、悩めるライカー・バルサについて、存分に持論を述べています。
番組内でクライフはおよそ半時間以上あれこれと語ったようなのですが、もっとも時間が割かれたのは、苦悩するクラック・ロナウジーニョについてでした。いつまでもフォームが整わないロニーについて、ヨハンは次のようにコメントしています。「選手は若い時期には、他のライバルよりもフィジカルが勝っている時のみ、ナンバーワンになれるんや。そしてそのためには練習を行い、自らを犠牲にしていくしかない。練習をして準備を整えた選手だけが、他との違いを見せられる。そしてロナウジーニョの最大の武器は、その個人技。彼はファーストタッチでパスを出すタイプの選手やないし、それゆえに彼の復活は難しいものになってるんや。」要するに、クライフの見解では練習がまったく足りてないということです。
では現状でロナウジーニョは、どうしていくべきなのか。そのカギはプレー傾向の修正にある、と御大は指摘します。「もっとワンタッチでボールをさばくようにすれば、ええようになるやろう。そうすることによって相手選手は彼から距離をとるようになるし、彼にはプレーをするためのスペースが出来てくるやろうからね。しかしいつも自分のプレーばかりをやろうとすれば、状況は難しくなっていくんや。そしてこの彼の現状は、彼とその取り巻きたちに責任がある。彼がやらんことを、他の誰にも出来へんからね。」
◇愛しているからこそ、クラック復活のために批判する
また、“もし自分の監督時代にロナウジーニョがいたら、どのように再生しましたか?”の問いには、「私のは10年以上も前のことやし、あれから状況はずいぶん変わったからね。当時はすべてがもっと簡単やった。なぜなら決断権は、私一人にあったからや。すべては私に委ねられていた。でも今は影響を与える人物がとても多くいるし、内部に入り込んでる。今は仲介人を通しての関係は簡単やないから、コミュニケーションが重要になってくるね。」と答えるクライフ。そしてこのように苦言を呈しながらも、実際にロナウジーニョのことが嫌いなわけではないとヨハン御大は強調しています。
「私は彼を、高く評価してるんや。ただ、彼にはいくつかの弱点が目に付いたということ。私が見る限りでは彼はプレーのスピードを上げてないし、彼と絡むことで、他の選手は最高レベルのプレーができてない。私が言ったのは彼はもっと自分の利益のことを考えてプレーすべきだということで、それはいつも個人プレーばかりしていては、早くダメになってしまうという理由からや。いつも賞賛の中で生きてきた彼は、批判からでしか学べへん。誰もが彼とロナウドの復活を願っているよ。」
よく使われる、“サイクルの終焉”という言葉。ロニーに関しては“バルサでのサイクルは終わった”と言われますが、クライフはそれは正確ではなく、実際は“ロナウジーニョの中でのひとつのサイクルが終わったに過ぎない”のだと説明しています。「サイクルというのはただの言葉やからね。ただし、習慣を我慢するなどして人が変化をするのならば、その人はいろいろなことを変えられるし、また違う人生を始められるよ。」だから今こそ変化せよ、取り巻きたちと遊び呆ける生活を見直すのだ、というわけです。
◇メッシ、ライカー、自身の監督復帰
そして話はロナウジーニョを離れ、ロッカールームの他の主役たちへ。まず御大が注意を促したのは、このところエゴイスティックなプレーで煮詰まってきつつある、リオネル・メッシについてでした。ご意見番曰く、「彼については私たちはこれまで急ぎすぎてきたし、ここらでもっと落ち着かなあかんよ。ここでは、二日あれば一人のスターを誕生させられるし、三日もあればそのスターを潰すことも出来る。私は彼みたいに成熟した20歳は見たことがない。私たちは彼をサポートしていく必要があるし、彼が成長していくために役立つ言葉をかけてやらんといかんのや。」たしかにこのままでは、メッシはよろしくない道へ進んでいってしまいそうな危うさがあります。それを避けるために求められるのは、周りの大人たちが彼をむやみに利用しない姿勢です。
さらに話は続き、いよいよクレなら誰もが気になる、監督についての話題に突入しています。まずクライフは、ラポルタ会長と同じくフランク・ライカーには絶対の信頼を寄せていると改めて力説しました。「ライカーには多くの才能があるし、彼はバルサにかつてなかった威厳を与えてくれた。物事には何でも肯定的・否定的な一面があるけど、彼は素晴らしい仕事を行い、バルサをフットボル界で高官を勝ち得るクラブへと戻してくれた。それがすごいことなんや。」それゆえに、対極のイメージを持つモウリーニョの招聘はお勧めできない御大なのです。
では、噂のマルコ・バンバステンはどうか。ヨハンは現オランダ代表監督についてはどう考えているのか。彼はバンバステンは夏以降もオランダフットボル界のために残るだろうと予想している模様。オランダ人監督以外ではエスパニョールのエルネスト・バルベルデを高く評価しています。ペリコを結果が出せるだけではなく、観てて楽しいチームに仕上げたその実績が素晴らしいとのことです。そして一部ではクライフの監督復帰を望む声も根強いのですが、それについては御大は“可能性ゼロ”と一蹴しています。
「監督に戻るのは不可能やね。その意義もなければ、願望もないんや。監督をするためには、200%の健康体でないとあかん。それにそうありたいとも思ってないしね。今はこうして助言役をしているし、私はこれが結構気に入ってる。以前はもっと、私はフットボルが好きやったんや。そしてそれこそが、監督に戻らへん理由やと思う。今の私は、ただの相談係や。でもラポルタとフットボルや組織のことで話をするのは年に2、3回だけ。彼は私の弁護士やから、その本職についての話をしてるね。」了解です。ではモウリーニョで話が進んだとき、強行に反対されませんことを願わせていただきます。
|