1-1:物足りない。
2試合続けてのチャビのゴールも、今回は不十分。
ズラリと欠場者リストに選手たちが名を連ね、しかも難地サンチェス・ピスファンでの試合。簡単な試合にはならないだろうと誰もが予想はしていましたが、よく引き分けで終われたものだ、というのが率直な感想です。前節のオサスナ戦に続き、今回もチャビのゴールによって救われたバルサ。けれども今回がもたらせたのはエンパテの1ポイントのみであり、是が非でも3ポイントが欲しかったバルサにとって、この引き分けは満足のいくものとはいえません。今夜マドリがバジャドリに勝利すれば、再び流れはあちらの手に。結局のところライカー・バルサはフエラで躓き、勢いを持続させられないパターンの繰り返しです。
◇いつもと同じライカーコメント
後半に多少の粘りは見せたものの、10人の相手に勝ちきれないところなどはいつものバルサ。監督の試合後コメントもいつもと同じように“腰砕け”なものとなっていますので、一応紹介しておきましょう。またもマドリに、リーガにダメージを与える大チャンスを提供したチームの指揮官は、次のようなポジティブコメントを残しています。「どちらのチームにも勝つ機会はあったね。満足のいく部分も、そうでない部分もある試合やった。出だしは良かったし、チャンスも作れてたけど、最後の精度が足りんかったね。その後はセビージャが勢いをつけ、私たちは苦しむことになった。後半はセビージャが退場者を出したことで、私たちにも勝つ機会はあったよ。感情と努力、フットボルの詰まった試合やった」
「このスタジアムでの試合はいつも難しいし、ここでゴールを決められたのはポジティブなことや。私たちは多くのエネルギーを消費したし、フィジカル的にかなりきつかった。この難しいスタジアムでのエンパテは妥当な結果といえるやろう。私にはこれを残念やと嘆くことは出来へんよ。なぜならチームは戦い、すごくええ仕事をしたからね。この状況においては、エンパテはええ結果。ウラゲー?カペルのような素晴らしい選手を前に、よく耐えてたよ。彼もジョバニも、チームのためによく苦しんでくれた。私はそれが嬉しいし、その仕事内容からいって、選手たちを祝福してやる必要があると思う」
◇内容も結果も、不十分
要するにチームは全力で努力をしたので、敵地でセビージャに引き分け、1ポイントを持ち帰れたことで一応は納得ということです。マドリにはほぼ確実に差を広げられるでしょうが、ライカーにとってはそれはさほど気になることでもない様子。曰く、「マドリを見る必要はないよ。彼らは現時点では、こちらよりも強い。しかし私たちが今考慮に入れるべきなのはポイントを積み重ねることであって、諦めることはないんや。私たちはただ一試合ずつ、勝利を目指して戦い、状態を改善していくのみなんや。」ビルバオ戦後にも聞いた、“1ポイントを加算したのだからOK”理論です。敵がしぶとさでは類を見ないチームである以上、“ポイントを追加した”、“勝つチャンスはあった”、“戦い努力した”だけでは不十分なのですが、ゆとりを見せるライカー。うむー。
指揮官の見解(建前?)とは異なり、バルセロニスタの認識は「このエンパテではまったく不十分」です。決定機の多さという点ではセビージャがバルサを圧倒。ゴレアーダを逃れたのはひとえにバルデスのパラドンがあったからであり、バルサは前半で死んでいてもおかしくはないゲームでした。両サイドを危険にえぐるセビージャに比べ、ライカー'Sの攻撃は単調で遅い。最近6試合で1ゴール以上決められない攻撃力は今回も健在で、自慢のトリデンテから得点の匂いはまったく漂ってこないのです。すべてはインスピレーション頼りのバルサ。
セビージャが今回2ポイントを逃したのは、2週間前のビルバオでのバルサと同様に“余裕かました”からです。前半の相手の出来を見て、のらりくらりとやっていれば十分だと判断したのが、バルサには幸運でした。メッシが本来の位置に戻ることで存在感を出し、チャビが2試合連続で貴重なゴールを決めた。しかしこのバルサにはそれが精一杯であり、数的に不利となったチームを押し切ることが出来ません。勝利への執念も、いまひとつ感じられない。勝ちたいという気迫も、それに到るための冷静な知性も、結局は足りていないのです。マドリの思いがけない躓きで一時的に盛り上がれても、その後あっさりとフエラで自滅。この黄金パターンを打破しない限り、タイトルなんて夢の夢で終わってしまいます。
◇“カンペオン”とは程遠い現状
バジャドリがベルナベウで奇跡を起こし、首位との差が5ポイントとなる可能性はゼロではありませんが、正直期待するのは贅沢といえるレベル。問題はこの切羽詰った状況においてライカー・バルサのプレーから必死の危機感が見られなかったことであり、世界有数のタレント(特に攻撃陣)を擁しておきながら、1点を奪うのが関の山という進歩のなさです。特にこの試合でのメッシ起用法は決定的なエラーでした。メッシに“偽の9番”を務めさせるのは、ゴールを背中にしてボールを受ける点、エリアからプレー位置が遠すぎる点からいって大失敗。やはり選手には適正があり、メッシはあくまでもメッシとしてプレーしなければ怖くありません。後半、左に戻ってからの彼は存在感を出し、チャビのアシストをするとともにケイタを退場に追い込み、その後も相手ファール製造マシンとなっていました。メッシはゴールに向かい、突撃させてこそ生きる選手です。
一方で、ロナウジーニョとしてプレーしてほしくとも、状態的に不可能となってしまったクラック・ブラジレーニョ。後の会見で「良くなってきている」とライカーは擁護していますが、後半45分間のプレーでロニーはまざまざと、彼が苦しすぎる台所事情であるにもかかわらず、ベンチスタートとならざるを得ない理由を明かして見せたのです。ガウチョファンでなくとも認めるのはつらいですが、彼はもはや“ロナウジーニョではありません”。魔法のようなドリブルやパスだけでなく、フリーキックでまでも輝きを失ってしまった元クラック。動きは遅く、パスにキレはなく、ボールを失うのも簡単・・・ベンチにおいてフォームを整える策も通用しないとなれば、もはや打つ手立てはなさそうです(悲涙)。
そしてオサスナ戦に続いて、この試合でも“救世主”となったチャビ。前回はそれでめでたかったのですが、“クアトロ・ファンタスティコス”のうち3人がプレーしながら、またもチャビのゴールに頼らざるを得なかったことは、いい兆候ではありません。彼の同点弾で勢いづいた後、そのままの流れで他の誰かが追加点を奪い、勝利しているのがカンペオンといわれるチーム。セビージャが余裕をかまして戦術的エラーを犯したのですから、そこは利用しなければなりませんでした。期待を膨らまされては、すぐに失望の繰り返し。またそのうちチャンスは巡ってはくるでしょうが、それを活かせると信じる気持ちは、残念ながら切れかかってる今日この頃です。
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