アンリ&ヤヤ・トーレ!
今日、ふたりの“新人”がバルセロナの土を踏む。
ティエリー・アンリのFCバルセロナ移籍が、正式に決定しました。アーセナルとバルサの両公式サイトにて、フランス人クラックの移籍に関し合意に達したとの旨が発表され、あとはメディカルチェックと、アンリ・バルサ間の契約の細部の詰めが残されるだけという状況です。チチ・アンリは今日、バルセロナへ早速降り立ち、カンプノウのオフィスにて最終的な契約書へのサインを済まる予定。さらに期待のセントロカンピスタ、ヤヤ・トーレもまた今日クラブのオフィスを訪れ、契約を完了させることになっています。アンリのメディア向けプレゼンテーションは明日にも盛大に行われ、その記事は世界中で大々的に報じられることになるでしょう。失意のバルセロニスタに、即座に夢を与えるこのタイミング。なかなかです。
◇アンリ・フィーバー
タイトルを失うなど、ファンが失意に沈んでいる時には、彼らに夢を与えるための明るい話題がクラブから提供されることが、往々にしてあります。今回のティエリー・アンリのバルサへの移籍がそういった計算されたものであるかどうかは分かりませんが、タイミングとしてはまさにドンピシャ。バルセロニスタの脳裏にちらりちらりと浮かばされていた白い人たちの浮かれ映像を、このニュースはドバッと洗い流してくれました。世界中に名を馳せるメディア的クラックである“チチ”の移籍は、とてつもないインパクトをもったニュースです。クラブとしてはこれを最大限に活用しない手はない。今日から明日にかけ、アスールグラナのシャツを手にするアンリの写真が全世界を駆け巡ることになるわけで、まずは“広告塔”として最初の仕事をこなしていただきましょう。
バルセロニスタにとっての明るいニュースは、チチの加入だけではありません。知名度は彼には遠く及びませんが、未来のスター候補ヤヤ・トーレもまた今日バルセロナへと降り立ち、契約の最後の詰めを行う予定となっています。ただ、ここ数日は間違いなくバルセロナはアンリフィーバーとなってしまいますから、ヤヤ・トーレの公式プレゼンテーションなどは、その“嵐”が一度去ってから行うのがベター。アンリが明日プレゼンを行い、その翌日の火曜にトーレがバルセロニスタとしての初顔見世をするというのが現時点での予定です。ちなみにヤヤ・トーレは4年契約で年俸180万ユーロ(約3億円)、移籍金は推定1000万ユーロだということです。
また、アンリの移籍金は2400万ユーロだということですが、現バルサのクラックたちと比較してみると、ロナウジーニョが3000万、エトーが2700万でデコが1500万(すべて単位はユーロ)。こうしてみると、まあ妥当なのかな、という印象ですか。オーベルマルスの4000万やサビオラの3600万、ジェラールの2100万、ジェオバンニの2000万なんてガスパー会長時代のマッド契約に比べれば、だいぶ妥当です(比べる対象がおかしい?)。
◇プロとして、ファンとしてバルサを選んだ
バルサ入団で体中にみなぎる熱い想いを、ティエリーは明日のプレゼンテーションにて存分に語ってくれることでしょう。その後も、ロナウジーニョの時がそうであったように、メディアにはとにかくアンリの話題が溢れかえることは間違いなし。このフィーバーは、当分収まることはありません。クレとしては早く彼の言葉が聞きたい。バルサをついに選ぶに至ったその経緯を、教えてほしい。本当の詳細は明日を楽しみにするとして、昨日付のフランス・レキップ紙にアンリのコメントが掲載されていますので、それを紹介しておきましょう。けっこう、この人はバルセロニスタだと思わせるセリフが語られています。
まずバルサを選んだ理由については、「もしアーセナルを出るとしたら、バルセロナしかないっていつも言ってたでしょ。ナゼこのクラブを選んだのかというと、まずは彼らが実践しているフットボルが好きやったのと、歴史やスタジアムやね。あとは監督のライカー。彼は偉大な選手やったし、彼のことはすごくリスペクトしてる。それから、バルセロナでプレーしてる選手たち。バルサのプレーはアーセナルのそれと似てると思う。新しいリーグに、新しい言語での挑戦となるけど、そういったすべての点において、僕はバルサを選んだよ」と説明するチチ。ありがとうございます。
さらに「バルサは93/94シーズン、モナコのユースにいた頃から好きやったね。ロマーリオやストイチコフのファンで、その当時からバルサのシャツを着たいって思ってた」とプロフットボル選手として最高の舞台で活躍したいという願いだけでなく、バルサへの憧れがあったことも明らかにするアンリ。さすがと思えるのは、次の大スターとは思えない謙虚コメントです。「ベストを尽くし、チームの成功に貢献したい。最初の4ヶ月ほどは、いろいろと勉強するつもりなんや。運よくバルサにはチュラムがいるし、サム(エトー)やロナウジーニョもいる。まずは謙虚に、学んでいきたいと思う」。さすがもうすぐ三十路。オトナですな。
◇学ぶところの多い、アンリの謙虚さ
このアンリという選手、これまでもピッチ内外での言動には感心させられることもあった人ですが、改めて注目してみるようになると、さらに彼の人間性に惚れ込んでいきそうです。前述のレキップ紙での“告白”のなかで、目を引くのはバルサへの愛着心と謙虚さでしょう。フットボル界の頂点に立つ大スターでありながら、偉そうな素振りはまったく見られない。「誰が先発であれチームのためにベストを尽くすし、昔からバルサにいる少年たちからも勉強するつもりだ」なんてセリフは、なかなか出てくるものではありません。その謙虚さがあればお山の大将だらけのチームでも上手くやっていけるでしょうし、むしろ他のクラックたちがアンリのこの姿勢から多くを学び取り、学習していってもらいたいものだと思います。
アンリはアーセナルの熱烈要請を断り、タイトル獲得と青年時代からの夢を優先させました。彼には数年前のバルサ・クラックたちのような、「ここで成功を収めてやる!」という初々しい勝利へのハングリー精神があふれています。このスピリットこそが、この一年のバルサに欠けていたものであり、アンリ加入によってチームへと伝染していくことが期待されるものです。謙虚なアンリにはじっくりとバルセロナの文化やプレースタイルを学んでもらうとして、他の選手にも、是非このフランス人選手の姿勢というものを学んでもらいたいところ。そうすれば、この惨めな一年で重ねてきた失敗も、その多くは解決されていくのではないでしょうか。求められるものは若干違えど、アンリはラルソンのごとく、プロフェッショナルの鑑として手本となり、ファンの熱い支持を集められそうな気がします。一年後にこの予感が、大的中していますように。アニモ、チチ・アンリ!
その他プチ情報
◇プジョル、退院
シーズン最後のクラブ行事、南アフリカ遠征にて左ヒザの外側靭帯を断裂、全治3ヶ月を言い渡されていたカルラス・プジョルが昨日、無事バルセロナのアスペヨ・クリニックを退院することが出来ました。これから9月末の復帰に向け、スーペルカピタンのリハビリ生活がスタートすることになります。水曜日に手術を終え(執刀医はヒザの大権威ラモン・クガット)、しばし病院にて静養していたプジョル。ドクター・クガットによる検診の結果、経過は順調だということで、リハビリの第一段階=絶対安静を終了し、帰宅の運びとなったわけです。当初は酷くショックを受けていたプジョルも、いまは気持ちを取り戻し、一日も早い回復に向けてやる気満々。さっそく明日から、長く苦しい仕事へと取り掛かることになっています。
一方で、プジョルと同じくアスペヨ・クリニックにてヒザの手術を行ったエヂミルソンは全治4〜6ヶ月となる見込み。彼は明日、あるいは火曜まで入院をして様子を見、退院後はクガットチームの管理の下、バルセロナにてリハビリ作業を行っていく予定なのだそうです。2004年には靭帯を断裂し、昨年は半月版の故障によってW杯を棒に振ったエヂミルソン。彼は今季、違和感を抱えつつプレーを行っていたそうなのですが、最終的にはこういった結果に。これで彼の夏の移籍は消えましたので、じっくりと治し、そしてもう一度チームのために貢献してくれますように。
◇エトーの反省、来季への抱負
怪我、そして爆弾発言事件など、きっと人生でも指折りの難しい一年となった06/07シーズンをサムエル・エトーが振り返り、反省ならびに分析、バルサ残留の意思などについて、あれこれと語ってくれています。地元バルサTVの番組内でのことです。まず混乱の原因となったビラフランカでの爆発事件について、サミは自分がごたごたのきっかけを作ってしまったと素直に認めています。「フットボルには2つの事柄があるんや。チーム内で話されることと、外部で言われることやね。重要なのはロッカー内でのことであり、そういった意味で僕は過ちを犯してしまったよ。来年の僕らは、これに気をつけていく必要がある」と、エトー。彼は「クラブ全体でエラーを修正していくことになるけど、僕がその第一となる」とも述べていて、それが真実の言葉となるよう願うばかりです。
また、「僕らがバルサへきたときに持っていた、でっかいことをやってやるという夢、それを取り戻していかねば」と決意を述べ、怪我に泣いたシーズンを振り返って「実は数ヶ月前までは、将来についてハッキリとした確信はなかったんや。怪我をした時は最高のシーズンにしようという希望があったけど、長くチームメイトたちと離れ、そして戻ったときに、なにか自分の居場所のないような、そんな違和感があったんや。でも、もうすっかり普通に戻っているよ」と明かすクラック。「現時点での僕の夢はただひとつだけ。ええプレシーズンを送って、チームメイトたちとハッピーになること、それだけなんや」というサムエルですので、心配は不要でしょう。最後に彼は、「希望をもって、何年もバルサでプレーし続けたいと思う。夢や希望があり、ファンが愛してくれているなら、動く理由なんてどこにもないよ」と改めて残留の意思を強調しています。
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