1-5:終わった。
失敗だらけのシーズンが終幕。
ドリームチームの再現を、と夢見て臨んだリーガ最終節。後半途中までは、追い風はバルサに吹いているように思えました。逆転優勝への条件はすべて整い、あとはそのまま少しでも早く時間が経過してくれればいい―。しかしバルセロニスタのそんな願いも虚しく、マドリーはこの最後の試合でも執念を示し、準備されていた祝勝会を行うに至ったのでした。バルサ、1ポイントに泣く。絶対的なカンペオン候補といわれながらも、歴史的なシーズンになると思われながらも、終わってみれば失敗した印象しかない一年。結局のところ、バルサはシーズン序盤の教訓を活かすことが出来ず、幾つかの不運も手伝い、自滅への道を歩んでいくことになりました。これから役員会、テクニコ、選手たちが成すべきこと。それは今度こそ、失敗から学び取ることです。
◇繰り返しすぎたエラー
そもそも警告ランプは、シーズンの頭から灯っていました。余裕をかましながら臨んだモナコでの欧州スーペルコパにて、セビージャに木っ端ミジンコにやられたバルサ。パーティに参加し、過剰な賛辞に自分たちを過信し、試合当日にスポンサー活動を行うなど、油断の兆候はそこかしこに見受けられていたのです。この3-0で目を覚ましていれば、その後のシナリオは異なったものとなっていたでしょう。そして12月の横浜でのクラブ・ムンディアル。バルサは優勝候補筆頭として大会に臨み、準決勝のアメリカ戦で快勝した後、ファイナルでポルトアレグレにやられます。エトーやメッシの怪我のあと、ようやく持ち直そうとしていたチームはこの敗戦により、再び迷いの森へと入っていってしまうのでした。
思えばこのインテルとの試合は、チャンスを作り支配しながらも、それを決められずに最後にカウンターを利用されて沈没するという、今季を象徴するような内容でした。この時点ではまだバルサには主要3タイトルの夢が残されていましたが、ご存知の通り、それらもことごとく似たような展開によって失っていく。エラーによってカンプノウでリバポーに敗れたことでチームへの疑念はいよいよ本格的なものとなり、コパでも緊張感の欠如からヘタフェに4-0という悪夢。このコパ敗退は危機感を募らせるには十分すぎるほどのインパクトがありましたが、それでもチームは目を覚まさず、ベティス戦、そしてエスパニョール戦の失態へとつながっていくのです。
◇1ポイントに泣かぬよう、活かすべき教訓
手にしていた最後の望み、リーガ3連覇のオプションを手渡した相手がシーズン途中のマドリーならば、“奇跡”とやらも起こっていたでしょう。しかし彼らの勝利への執念はハンパなものではなく、気迫は明らかにバルサのそれを上回っていました。能力に圧倒的な差がないのであれば、より仕事に集中し、努力を怠らなかったものが勝つ。シーズンの中盤から終盤にかけてのバルサは間違いなく本来の姿を見失っていましたし、チームを取り囲む空気も良くはありませんでした。バルサはあまりにも最後にエラーを重ねすぎた。8敗もしたメレンゲにタイトルを持っていかれるのは釈然としませんが、結局のところ“あとたった1ポイント”を積み上げられなかったのはバルサの責任です。FIFAにゴリ押しして、ロビーニョとディアラを昨日の試合で使えるようにしたのは気に食わないですが、負け犬の遠吠えにしかならないのが悔しいところです。
4ヶ月に渡って勝ちのなかったフエラでのゲームで、1つでも勝てていれば。カンプノウのクラシコで、勝利していれば。ベティス戦かエスパニョール戦で、最後の最後に失点を許していなければ。バルサは今季、この1点、1ポイントに涙することになりました。昨日タラゴナで見せたような姿勢を、なぜそれ以前のゲームで示せなかったのか。バルサは06/07シーズンのリーガにおいて、最も多くゴールを奪い、最も少なく失点したチームであり、負けた数もマドリーよりも2つも少ない。なのに優勝することが出来なかったというのは、あまりに悲しいことです。中堅クラブ並みに多かった引き分け、そしてそう至る要因となった姿勢の欠如。プジョルの言うとおり「責任は選手にある」のは尤もとして、引き締め切れなかったテクニコや役員会も、来季はやり方を変えなければなりません。学ぶべき教訓は、山ほどあります。
ライカーに今さら、カペッロのごとき“鬼軍曹”になれとはいいませんし、無理でしょう。ただし、今季のように性善説から選手たちの自主性を完全に信頼し、仕事へのアプローチや行動を委ねるというやり方は、改めるべきなのでしょう。やるべきところでは、もっと選手たちをコントロールしていく。兄貴的存在として選手たちに敬われ親しまれているライカーですが、それだけでは勝てるチームには戻れない。同じやり方では、おそらく同じ問題が繰り返されることでしょう。ライカーが来季もベンチに座ってるのであれば、役員会やテクニコたちも含め、選手を甘やかし過ぎないようにする必要がありそうです。
◇メンタルを含めた、刷新が不可欠
このシーズンは、バルセロニスタにとって悲惨なものとなりました。暗黒時代に比べれば、かなりマシではあるのですが、「6冠だ〜!」などと豪語したクラブとしては大失敗と結論付けるしかないでしょう。ラポルタ役員会には、ナゼ大失敗という結末に至ってしまったのか、よく自己批判してもらうだけです。そしてひとしきりの反省が終わったら、あとは次へとページをめくること。いつまでも暗くしょげていても、明るい未来は訪れません。このチームは戦力面での入れ替えが必要ですが、精神面でも同じことが言えます。この悔しさをバネにして、思い出してほしい、過去2シーズンの献身的精神や仕事への姿勢を。この一年、バルサが大一番でことごとく失敗してきたのは、このバルサスピリットを忘れてしまっていたからなのですから。
失敗に終わったシーズンの後ですから、各方面での改革なり刷新は不可避です。自己批判を済ませば、次に待っているのは、反省点を実際に行動に移すこと。ひょっとしたらロナウジーニョなりエトー、デコの誰かは2ヵ月後のロッカールームにいないかもしれませんし、ライカーもどうだか分かりません。今日から、もっとも困難な仕事が待っているのがチキ・ベギリスタイン。彼には戦力外選手の決定など、重要任務がこれでもかといわんばかりに待ち受けているのです。「チームのサイクルが終焉したとは思ってないし、このチームにはまだ先の未来があると信じてる。ただし、機械の調整は不可欠やね。これまでに起こったことから学び取り、強化するために活かさんとあかん。プロフェッショナル精神、忠誠、希望という点で、チームには抜本的な刷新が必要や」。最大のライバルに優勝を許したことを受けた、ジョアン・ラポルタの言葉です。
会長は続けます。「今季、私たちは誰もがを犯してきた。今はそれを認め、分析するべき時間やね。会長も、役員会も、テクニコも、監督も、選手も、すべてが失敗をしたんや。私たちはこのチームがこれまでに成し遂げてきたこと、栄光の歴史を刻んできたことには大変感謝をしているけれども、あらゆるものにはその周期というものがあり、分析を終えた後は、物事を刷新していく必要がある」。チームがある種の“飽和状態”に陥ったこと、それを事前に防げなかったこと、そのあたりが自分の責任であると認めるラポルタ。ソシオを満足させるため、やれるだけの刷新を行うと意気込んでいる会長ですので、真っ当なプロジェクトを進めてくれることを期待しますか。なお、「ロナウジーニョとエトーは来季もチームの顔として残ってもらう計画」だということなので、それがウソにならないことを願っておきましょう。
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