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2007年6月04日

最強カルテット。

 

アンリ獲得が規定事実のようであり。

ちょうど一年前も似たような雰囲気でした。ティエリ・アンリのFCバルセロナ移籍は確実という空気がカタランメディアに流れ、世界最高のクラック攻撃陣への夢が膨らむ一方で、果たして彼らは共存し、チームは機能するのだろうかという議論に花が咲いていました。結局のところ、そのシナリオはアンリのアーセナル愛宣言にて終了するのですが、物語はまだ終わっていなかったわけです。真偽のほどは、関係者たちにしか分かりません。しかし不本意だったシーズンへの反動か、とにかくフランス人クラック獲得への夢には根強いものがあります。昨年は抵抗を示していたアーセナルからも後継者探しの動きが見られ、ますます実現への信憑性は増すばかり。果たして本当に、最強カルテットとやらは誕生するのでしょうか。

 

◇夢もシャツも売れるカルテット

もしティエリ・アンリがアスールグラナのシャツを着ることになれば、バルサの前線にはエトー、ロナウジーニョ、メッシ、そしてアンリという、まさに世界最強のクラックたちが揃うことになります。誰をどのように起用するかは別として、名前だけ見れば、年間80ゴールは決めてくれそうな4人です。欧州にキラ星たちを集めるビッグクラブは数あれど、これほどまでにメディア的にも能力的にもハイレベルな陣容はない。脂の乗り具合、持ち合わせた能力、ポテンシャルだけを考慮するなら、まさにパーフェクト。理論上はバルセロニスタのみならず、世界のフットボルファンにも大いなる夢を提供する、魔法のカルテットとなります。

個人的には、バルサには“超スター”になる一歩手前くらいの選手を獲得し、バルサにてメガクラックに成長してほしいという気持ちはあります。ロニーやエトーもそうでしたし、ロナルドやリバルドといったところもバルセロナにて才能を一気に開花させました。ゆえに完成したクラック・メディアティコを連れてくるのは多少の違和感はありますが、“カンプノウでプレーするアンリも一度は見てみたい”という欲求も否定できない。それに、なにせ“チチ”は世界的な超スター選手です。マーケットにおける貢献度が絶大なものがあることに、疑問の余地はない。フランスを中心としたヨーロッパはもちろん、アジア市場でもたくさんのユニフォームを売ってくれることでしょう。夢も売るし、シャツも売る。類稀な存在です。

たしかに3つのポジションに4人のクラックというのは、ライカーの頭を存分に悩ませることになるでしょう。しかし今季バルサを襲ったことを考えれば、4人が多すぎるともいえません。06/07シーズン、バルサは攻撃陣に怪我人が多発しました。リーガとチャンピオンズの44試合のうち、“トリデンテ”が揃って出場したのは、わずかに14試合。04/05シーズンもラルソンの負傷によって“デランテロ危機”は発生していますし、来季はエトーがコパ・アフリカで1ヶ月チームを離れるのが確実となる見込み。相当にゼイタクなラインナップではありますが、タイトルをより確実なものとするためにも、アンリがいることの安心感はデカイです。

 

◇エゴの対立は大丈夫か

考えられる問題は、常に出場機会を求める“超スター”選手たちの満足度を、いかに保っていけるかどうかという点。そして“船頭多くして、船、山に登る”のことわざにもあるような、ロッカールーム内の混乱を招かないかという点です。今シーズン、メディアには盛んにロナウジーニョとエトーの不仲説が流されることになりました。同じようなことが、また来年も繰り返されるのではないか。その不安は確かにあります。このあたりは、ライカー・テクニコによる動機付けで、選手たちのエゴをコントロールするしかないでしょう。上手く目標設定を行い、ひとつのゴールに向けて一丸になる雰囲気を作れれば、問題は起きないと思われます。ライカーは人心掌握に長けており、過去2シーズンの成功でそれは証明されてます。傍目からは今季のトラブルもどうにか乗り切ったように見えますし、いけそうな気はするのです。

 

ただ正直なところ、サムエル・エトーの去就はまだ100%決まっているわけでもありません。旗艦であるロナウジーニョをバルサがいま手放すことはないでしょうし、もし“騒動”の“責任”をとるのならばエトーでしょう。もちろん役員会が彼を積極的に放出しようとしてるわけでもなく、エトー本人も「残留する」と繰り返しています。その一方でメディアから伝え聞こえてくるのは、「エトーにはピッチ外での振る舞いさえ直してもらえれば問題ないのだが」という役員会の声。どこまでが真実かは外部からは分かりませんが、バルサ役員の中には時折バクダン発言をするエトーを疎ましく思っている人物もいるということです。ピッチでの活躍に異論はない。とはいえ、プレスを前にしての問題行動は看過できない。クラブとしては「この点は“矯正”できると信じているので、エトーにも頑張っていただきたい」、というところでしょうか。

そりゃサビオラやエスケーロといった選手たちのように、メディアには一切の不満を漏らさないほうが好いのには決まってます。“問題はロッカー内部で解決すべし”、の掟です。けれどもエトーが爆発した経緯についても考慮する必要はあるでしょう。いくらスーパースターとはいえ、年間に100回も練習を休む選手に対して、ファンのみならずチームメイトから不満の声が出るのは無理もない。エトーに対して「行儀よく振舞え」というのであれば、ロナウジーニョだってもっと集団行動を守らせるべきです。不公平は不満の素となるのですから。

同じくドイツW杯に参加していたカカーが今あれだけ切れているのを見るにつけ、やはり日頃のコンディション調整がきわめて重要だと判断せざるを得ず、バルサのブラジル人クラックにはそれが出来てなかったと結論をだすしかない今日この頃。ハードスケジュールは似たようなものでしょうに、ちょっと差がついてしまいました(にもかかわらず、エトー不在時にチームを牽引した功績に文句はない)。話がアンリから逸れてしまいましたが、いずれにせよ重要なのは、それぞれがエゴをしまいこみ、バルサこそが全てに優先されるものであることをもう一度自覚することです。それさえ徹底されれば、問題もそうは起きないのでしょう。きっと。そもそも、まだチチが来るって決まったわけじゃないので、気の早い心配事なのですが。

 

 

 

 

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