0-6:やればできる。
ビセンテ・カルデロンで、まさかの大ゴレアーダ!
つまづいたかと思われたメレンゲさんが、またもや試合終了間際の逆転勝利。どこまでもしぶとさを見せるライバルが勝ち点を伸ばしたことによって、鬼門カルデロンでの試合を待つバルサは10,000%失敗の許されない状況となっていました。泥臭くていいから、なんとしても3ポイント獲得を・・・。しかしこのバルセロニスタの願いは、とてもいい意味で裏切られることになります。なんとあろうことか、前半と後半にそれぞれ3点を奪っての0-6!ここにきて、このような歴史的ゴレアーダをやってのけるなど、誰が想像しえたでしょうか。このあたりが、“意外性のチーム”であるバルサの本領発揮というところ。特に集中を切らさず、無失点で試合を終えたところが高く評価できます。この結果を見て、これから精神的圧力を受けるのは白組の番です。
◇パノラマは一日にして変化する
首都マドリー方面を中心に、この5月20日こそがバルサにとっての“終戦記念日”になるだろうと期待していた人たちは数多く存在していたことでしょう。ヘタフェに惨敗したことで国王杯を失い、ベティスに終了間際に同点にされ、リーガでの首位もマドリーに譲り渡していたバルサ。見るからに青息吐息であり、ビセンテ・カルデロンが夢の終焉の地となることは、大いに可能性としてあったわけです。しかし、事はアンチ・バルサの願っていたようには運びませんでした。考えうる中でも最悪クラスのコンディションを跳ね返し、バルサはビセンテ・カルデロンを葬式の場所ではなく、フィエスタの場所としてみせた。これまでの苦労がウソのように次々と決まるバルサのゴールに、マドリディスタたちは早々にチャンネルを変えたことでしょう。
0-6というスコアから受ける印象のような、超攻撃的プレーをバルサがやってのけたわけではありません。前半の先制点が決まるまではボール回しに苦労していましたし、圧勝のムードなど一欠けらもなかった。過去2シーズンの、流れるようなパス展開などは、今回もさほど見られてはいません。しかし選手たちは、決して諦めないんだという決意をそのプレーで示し、どれだけのリードを奪おうとも、最後まで集中を切らすことがありませんでした。個人的なエゴは捨て、チームのために一汗かこうという姿勢。それが今回のゴレアーダにおける、最大の収穫ではないでしょうか。バルサは残されたカレンダーの、最難関と思われる試験を最高の形でクリアしました。チームを取り巻く士気も格段に上昇し、風をつかんだ。パノラマはこの1日にして、まったく異なったものへと移り変わったのです。
◇モラルを取り戻したカンペオン
「これが私たちにとって、ええ結果やったことに疑問はないよ。完璧な結果やったといってもええね。チームにはこれからもこういう結果を出していけるように、よくやったと言ってやりたいと思う。プレー内容?そちらに関してはよく機能はしていたといえるけど、驚くほどのものではなかったよ」というのが、この大ゴレアーダとなったアトレチコ戦を振り返っての、フランク・ライカーの感想です。“勝ってカブトの緒を締めろ”の見本例のごとく、大絶賛はしないオランダ人監督。このあたりの幸福感の調整が、ライカーはお上手です。この大勝利にリラックスしてしまい、また以前のチーム状況に戻っては意味がない。曰く「これからのゲームに希望をもたせる勝利やった」わけであり、マドリー撃墜の第一楽章としていかねばならないのです。「レアル・マドリーが首位のプレッシャーに耐えられるかどうか、見させてもらおう。それは簡単なことやないからね」というライカーの言葉には、苦しんだ者のリアルさがあります。
最後はチームとしての自力の差が出た形になりましたが、ライカーが指摘するとおり、「もっとも重要なのは、先制点を奪った後も手を緩めなかったこと」にあります。今季のバルサは1点のリードを手にした時点で一息ついてしまい、追加点を決められないうちにビンタを食らうというシーンが数多くありました。このあたり、勝利への渇望が強く甦ってきたという証といえます。バルサは精神的に、カンペオンとして復活した。このアトレチコ戦での豪快な3ポイントは、チームに多量のモラルを注入することになるでしょう。勢いに乗ったバルサは慢心や油断さえなければ、簡単に敗れるような集団ではありません。一番厄介に感じているのは、間違いなくレアル・マドリーです。
◇マドリーに圧力を!
もしベティス戦にグレーな状態のまま勝っていたなら、このカルデロンでの爆発はなかったでしょう。歓迎すべきことではないですが、本来の強さを取り戻すために、バルサは回り道をして、首位を明け渡す必要があったわけです。崖っぷちまで追い込まれて、クライシスをこれ以上ないほどに肌身で感じて、ようやくエンジンに火がついたバルサ。マドリーはしぶとさを示していますが、勝ち方はかなり危なっかしいもんです。残り3試合に全勝すれば、タイトルは十分に期待できるでしょう。もし先週ベティスに勝っていても、アトレチコに負けていたらマドリーに一歩先を行かれていた。その先も、さらに失速していたかもしれません。なんだかんだで、結果オーライ。38節が終わった時点で、笑えていればそれでいいのです。ここぞというタイミングで、強いバルサが戻ってきた。それがバルサに活力を、マドリーに圧力を与えます。
繰り返しになりますが、あとは残り1ヶ月、ビセンテ・カルデロンで示したような集中力、連帯感を失わないことです。ライカーは最初から「目標はアトレチコに勝つことではなく、12ポイントを手中に収めること」だと明言してきました。選手たちとて同じ考えでしょうから、心配することはないと思われますが、幸福感をファンに提供するメディアから悪い影響を受けませんようにと願うだけです。とにかく実力さえきちんと発揮できれば、今でもバルサはリーガNO.1。昨日のプレーが出来れば、残り3連勝は確実です。あとはエスパニョール戦、レクレ戦と最後の最後で勝ちをもぎ取ってきたメレンゲが、今度こそ失速してくれるのを待つだけ。カペッロ執念の神通力が、この2試合で尽きたことを期待しましょう。風向きはここにきて、再び変わりつつあります!
追伸:悲しいお知らせですが、バルサBの3部リーグ降格が決定してしまいました。。これにより、今夏バルサカンテラに大嵐が起こるのは必死。数々のクラックを輩出してきたカンテラは今、危機的状況に瀕しています。注目のボージャンの去就を始め、バルサの未来を担う子供たちの行く末やいかに。0-6の陰で、もうひとつのクライシスは解決の糸口を見つけられないままに進行しています。
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