諸行無常。
1年前は、あんなに晴れ晴れしていた5月。
5月の水曜日といえば、UEFA主催の2大ビッグタイトルの決勝戦が次々と行われる日。まずは本日、グラスゴーにてUEFA杯の勝者が決まり、来週はアテネにてチャンピオンズ覇者が栄光の雄たけびをあげることになっています。今日ばかりは(優勝すれば明日も)、カタランメディアの主役はUEFA決勝の舞台が控えるエスパニョール。対してバルサは「栄光」という言葉からは程遠く暗い淵の中にあり、クライシスムード満点です。サン・ドニでプジョルがビッグイヤーを掲げてから、わずかに1年。まだまだ続くと思われていた黄金時代が早くも危機に瀕することになろうとは、誰が予想したでしょうか。リーガ3連覇の希望は捨てる必要がないですが、時の移り変わりとは、これほどに早く切ないものですか。
◇12ヶ月でムードは一変
バルセロニスタにとって忘れられない日付となった5月17日が、明日やってきます。アーセナルを逆転し、アスールグラナの紙ふぶきの中で掲げたビッグイヤー。世界中のバルセロニスタが歓喜に包まれ、仕事もそっちのけでフィエスタを楽しんだあの日。待ち行く人がすべて善人に思えたあの日から、もう1年が経過したのです。あれから364日、カンプノウ周辺の空気はこれでもかというくらいに激変しました。お祭りムードは、お通夜のムードに。笑い声はため息に変わり、希望は失望へと姿を変えてしまいました。ライカー・バルサが3年かけて築いてきた“勝利のモデル”は、いまや風前の灯といった雰囲気すら漂わせている。本当に消してしまうかは現場の選手たちを始めとする関係者の頑張り次第ですが、原因を作ったのは彼らだというのも寂しいものです。
実に5シーズンも続いた暗黒時代を、バルサは大手術の末にようやく抜け出し、ドリームチーム以来となる黄金時代(と呼ばれるもの)を迎えるに至りました。しかし仮にも“時代”というからには、それは少なくとも5年あたりは続いてもらわなければなりません。ライカー・バルサはまだ、時代といえるものを築き上げるには道半ばなのです。それがガラクティコたちが”時代”は作っていないと個人的に考える所以なのですが、それはさておき、バルサはこの程度のピンチで戦いを諦めるわけにはいかない。ドリームチームは、4連覇のうち3回は最終節での逆転優勝でした。その精神的なタフさを、今のチームにも持ってほしい。こんなところで希望を捨てるのは勿体ないです。
カンペオンといわれるチームを作り上げるのは難しくとも、崩れていくのは早いもの。ミランほどのクラブであっても、レベルを維持するのは容易ではないわけですから、バルサが苦労するのも不思議ではありません。チーム内でのエゴが渦巻き、団結力を失うなんていう“初歩的”な問題が起こってしまうのも、“カンペオン初心者”たる所以でしょうか。それでもここまで持ち堪えてきたのは、ある意味よくやっている方なのでしょうか。いやいや、ミランにみられるような“真のプロフェッショナリズム”があれば、バルサの黄金時代はまだまだ存続は出来るはず。そのためには、ライカー・テクニコの自由放任主義の見直しも必要となるでしょう。ライカーが来季も続投すれば、の話ではありますが・・・。しかしなんともはや、このところは暗い話ばかりで滅入ります。たった12ヶ月で、この変わりよう。対応するのも大変です。
◇ロニー、コパアメリカに不参加希望
今季がいかなる結果に終わろうとも、来季のバルサには“改革”なり“変革”、あるいは”刷新”、言葉はどうであれチームの再構築が必要となってきます。どうやらチキ・ベギリスタインはこの夏もチーム編成最高責任者として仕事をしていくことが決まったようであり、それはそれで幾ばくかの不安を誘ってしまうのですが、決まったからには信じて任せるしかありません。チキが的確なビジョンを持ち、かつ運の女神様が味方してくれれば、いい補強が出来ると願うだけです。いずれにせよ、補強が本格化するのは来月以降。そしてその下準備を着々と進めることと平行して、クラブにはもうひとつやるべき仕事が控えています。それは現有クラックたちに、どれだけいいコンディションで来季を迎えさせるかという任務。特にコパ・アメリカなるものが待っている、南米系の選手たちの調整がカギとなってきます。
バルサ選手が、6月25日から7月15日にかけベネズエラで開催されるコパ・アメリカに参加することは、すなわち夏休みなどほとんど味わえなくなることを意味します。今季、コンディションの悪さによるパフォーマンスの低下が議論されてきたロナウジーニョにとっては、これに参加するかどうかは大問題。クラブは言うに及ばず、本人もきっと休みたいと願っているに違いありません。そこで、感謝すべきはACミランです。彼らは先週、クラックを守るためにブラジルフットボル連盟(CBF)に対し、カカーをどうかメンバーに呼ばないでくださいというFAXを送り、カカー本人も「2010年W杯予選にベストな状態で臨むためにも、この夏は休みが欲しい」とCBFに考えを伝えています。さすがはミラン。先頭を切ってブラジル連盟に意見する勇気のなかったバルサも、これで後に続きやすくなりました。
ドゥンガが10番を与えたカカーが不参加希望を出したことで、ロニーは楽になったでしょう。そこで早速、昨日彼はCBFに向けてコパ・アメリカに自分を召集しないことを求めるFAXを送信しています。カカーとロナウジーニョがともに休養を希望することで、ドゥンガも方針を変更せざるを得なくなるはず。クラブ運営のあらゆる面において、見習うべきところの多いACミランというクラブから、バルサは大いに学んでいってもらいたいところです。ありがとう、ミラン。これでロナウジーニョは夏休みを楽しめるようになりました(たぶん)。先のことは心配することなく、存分に残り4試合に全力集中してくださいませ。
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