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2007年4月16日

1-0:抜け出した!

 

リーガの女神は、バルサを望んでいるようだ。

絶望感に包まれた一週間前とは、パノラマは一転。こんなこともあるものかというのが率直な感想ですが、リーガタイトル争いは今週末、一気にバルセロナ寄りに傾くことになりました。バルサが最後の最後に黄金の3ポイントを掴み取り、急追していたセビージャとマドリーが共に敗北。すっきりとしない天気が続いていたカンプノウ上空はにわかに晴れ間が差し込み、3連覇の希望はそろそろ本当に現実味を帯びてきました。まだ何が起こるかはまったく分からないとはいえ、どうやらリーガの女神様はライカーと教え子たちを望んでいる模様。それならば、その“好意”は素直に頂くことにいたしましょう。

 

◇追跡者たち、またも失敗

エル・サルディネーロでレアル・マドリーがラシンの前に沈み(2-1)、メスタージャではセビージャが木っ端ミジンコに(2-0)。2位と3位の彼らが0ポイントに終わり、マジョルカをカンプノウにて下したバルサが3ポイントを手に入れた。少なくともマドリーはしぶとくすがってくるのではないかと予想されていただけに、この結末はバルセロニスタにとってはパーフェクトな展開といっていいでしょう。これにてセビージャとは4ポイント差、マドリーとは5ポイント差、バレンシアとは6ポイント差。しょっぱいプレーの連続であるバルサが、こんなにもライバルたちに助けてもらっていいのでしょうかと脳裏をよぎることもありますが、いいんです。バルサの不手際を、利用できない彼らが悪い。ややネガティブな争いですが、今季はもっとも失敗が少なかったチームが勝利。そういうレースです。

 

◇バルデスのセーブと、最後の執念

試合展開を決めたポイントの第一は、マジョルカが“亀の子戦術”を採用してきたことです。中盤で圧力をかけ、バルサを機能不全に陥らせるのではなく、得意の守備で守りきって引き分け、あわよくば勝利を手に入れてやろうというマジョルキンたち。この試みは、あるいはヒットしそうになりました。バルサの決め手に欠く攻撃をなんとか防ぎきり、ホナスのカウンターによってペナルティという千載一遇のチャンスを、マジョルカは手にしたのです。これが決まっていれば、バルサにとって最悪のシナリオもあり得たでしょう。前がかりになるバルサは、さらにカウンターの脅威にさらされていたかもしれません。けれどもペナルティを与えてしまったバルデスが、自らこのピンチを切り抜けた。これは決定的でした。バルデスは今季3度目のペナルティストップ。グラシアス!

そして後半、チュラムを下げてチャビを投入、チビッ子三銃士で中盤を構成したことでバルサの攻めパターンは変わりました。相変わらず最終局面でのパンチ力は不足していたものの、ゴールに迫る回数は増加し、決定的度も上昇。ただ無闇にマジョルカエリアに詰め寄るのではなく、意図を持って攻め込むようになったというのが、一番の違いでしょう。特に、同時投入されていたサビオラとの“チャビオラ”ホットラインは芸術的であり、惜しかったです。完全に引いて守る相手には、チビッ子トリオはイケます。そして、メッシはやはり右がいい。セントロカンピスタのもっと強引な突破やミドルシュートなど、局面打開に必要なオプション(課題)はあるものの、とにかく諦めずに最後まで勝利への執念を見せたことがナバーロのオウンゴールを呼んだわけで、ここが改善されたのはとりあえずの進歩です。

 

◇苦しみながらも、勝てたことが重要

なんだかんだでバルデスがペナルティをストップし、試合終了間際のサビオラのシュートの跳ね返りがナバーロに当たってオウンゴール、バルサは貴重な貴重な3ポイントを獲得しました。そしてバルサを追うライバルたちは、痛恨の敗北を喫した。シーズンを分けるのはこのような”運”であることも多く、苦しみながらもポイントを積み重ねたチームが、最終的にトロフィーを掲げる栄光を手にするわけです。プレー内容は満足のいくものではありませんでしたが、結果には大いに満足はいきます。いまのバルサのチーム現状では、パフォーマンスに多くを期待するのは(悲しいですが)難しい。それならば執念で3ポイントを手に入れたことを最大限に評価し、とりあえず今回は他のことには目をつぶる。この勝利でモチベーションが上昇し、プレーにダイナミズムが出るかもしれませんし。

ボールを持ちすぎる、失ったボールを追いかけない、などとピッチに居たら居たで非難されがちな“100%ではないロナウジーニョ”ですが、そんな彼であっても、居ないとなるとその創造性が懐かしくなります。エトーがいないとダメなロニーですが、ロニー不在ではエトーもいまいち輝かないようで。代わりに左のやや低い位置を任されたメッシも、本来のレベルには及んでいませんでした。パスの速度が遅く、ダイレクトでもないバルサの攻撃は、魔術師による予想外のプレーもなければ、かなり先読みが可能です。やはりここは、チーム全体のコンディションと共に、ロナウジーニョに少しでも復活してもらうことが、苦しまずに勝利するためには必要不可欠な要素です。

 

◇ライカーはまず姿勢を評価

「この3ポイントは、チームのプレー姿勢によって手に入れたものや。マジョルカはフエラでいい結果を残してるチームであり、組織だったええプレーをしていたから、難しいゲームになったよ。流れるようなプレーというような試合にはならへんかったけど、選手たちの姿勢をなくしては勝利もなかったわけやしね。最後まで勝利のために戦った彼らには、よくやったと言ってやらなあかん。精神的な面において、この瞬間でのこの勝利はとても重要な意味を持ってくるよ」

これがマジョルカ戦を振り返っての、フランク・ライカーの総括です。ファンが思うように、パフォーマンスという点ではまだ納得するレベルには達してないものの、勝利を目指して闘う姿勢が、ライバルたちを突き放す結果へとつながっていった。監督はまず、そこを評価しています。プレーでは盛大に褒めるポイントは残念ながら多くはなかったわけですし。その他にライカーが褒めているのは、「あのゴールは彼のものやった」というサビオラと、「最初から最後まで、闘志あふれるプレーでチームを引っ張った」デコといったところです。

ちなみにライカーはペナルティのシーンでは、バルデスが退場になることも考えていたそうで。固唾を呑んで見守ったところ審判が提示したのはイエローであり、「決定的な意味を持ったジャッジやった。その後バルデスがペナルティを止め、私たちを救ってくれたからね」と振り返っています。

 

 

 

 

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